ビックリ仰天!中国事情 弁護士 藤田 大樹執筆コラム

第1回 “爆買い”の中国回帰

KLO投資コンサルティング(上海)有限公司(黒田法律事務所が提携する中国現地のコンサルティング会社)広州支店顧問の藤田大樹です。

最近、日本のニュースを賑わしている「中国人観光客による“爆買い”」。初めは、「白い恋人」を代表とする銘菓等の純粋なお土産で目立っていましたが、安全面を意識して粉ミルク・紙おむつ等の赤ちゃん製品が買われるようになり、現在では、炊飯器・ウォッシュレット機能付便座・医薬品・不動産・日本包丁等止まる所を知りません。

報道等によれば、2015年の春節(旧正月)期間中の一週間で日本を訪れた中国人観光客が消費した金額は約60億元(約1200億円)にも上ったといわれており、また、ドラッグストア、ホテル等の中国人顧客をあてにした関連株も上昇しているそうです。

このような“爆買い”現象が起きる理由の一つは、日本の物価が安く、中国の物価が高いからです。最近の円安もあり、お得感は増すばかりです。日本では、未だに、日本よりも中国の物価が遥かに安いと信じている人も少なくないですが、沿岸の都市部では最早日本以上の物価となっており、特に輸入品は日本の2倍、外資系企業の製品も1.5倍近くすることは珍しくありません(例えば、スターバックスのラテ【tall】は日本では370円、中国では27元(540円)です)。

一方で、中国政府は、国内における景気減速の懸念を受け、景気刺激策の一つとして、中国人の海外における消費を中国国内に戻せないか模索しているとの話もよく聞くようになりました。

毎年11月11日の「光棍節(独身の日)」には、ネットショッピングを中心にセールが実施されますが、昨年同日のアリババ集団のネット通販サイトの取引額はたった1日で570億元(1兆1400億円)を超えたというのですから、その消費力を見過ごす手はありません。

日系企業も日本への観光客よりも購買層の広い中国国内での販売を積極化しており、例えば、日系のウォッシュレット機能付便座の中国国内コマーシャルでは「日本に行かなくても買える」とのフレーズが使われていたりします。

このような、いわば「“爆買い”の国内回帰」が志向されていることを受け、外国製品を中心として中国国内での価格を減少させようとの動きもあります。

例えば、国家発展改革委員会(物価調整を含む経済政策のマクロコントロールを司る機能を持つ行政機関)は、独占禁止法を根拠に、外国製の車の補修部品、粉ミルク、コンタクトレンズ等の値下げを求めましたが、これもそういったトレンドの一つかもしれません。

もっと直接的には、今年6月から、財政部が一部の輸入製品に対する輸入関税率を下げることを決定しました。具体的には、スーツ・毛皮は14-23%から7-10%に、ブーツ・運動靴等は22-24%から12%に、紙オムツは7.5%から2%に、スキンケア製品は7.5%から2%に下げるとしています。同決定では、「これらの製品は国外での消費量が大きく、消費者の購買意欲が強いので、関税を下げて輸入を増加すれば、国内消費を活性化させ、就業、生活、国内産業の高度化に積極的な作用がある」と明記されており、ここにも「“爆買い”の国内回帰」の流れが伺えます。

このような値下げ政策がどんどん浸透すれば、中国に駐在する筆者も少しは住み易くなるかもしれませんが、最近の自動車業界の安売り合戦(数万元程度の値引きは当たり前です)が過激化するのを見たりすると、経済に対する影響という点では一抹の不安を感じずにはいられません。。。

2015/07/09

*本記事は、中国関連の一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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執筆者紹介

KLO投資コンサルティング(上海)有限公司広州支店顧問 弁護士 藤田 大樹

2002年、日本の司法試験に合格。2004年北京の清華大学美術学院で中国語を学習。  東京の黒田法律事務所での勤務を経て。2006年、KLO投資コンサルティング(上海)有限公司広州支店顧問に就任、現地日系企業の様々な法務コンサルに携わる。2010年、南アフリカでのボランティアワークに参加すべく同社を退社。その後1年半のアフリカ等での生活を経て米国系法律事務所で執務。2013年、同事務所を退社し、KLO投資コンサルティング(上海)有限公司広州支店顧問に復帰。培った国際感覚を駆使しグローバルな視点で、現地進出企業をサポートする。