ビックリ仰天!中国事情 鈴木 龍司執筆コラム

第2回 北京の渋滞

「今日も渋滞だ・・・」タクシーの運転手がつぶやく。
一昔前の北京といえば、広い道路を占拠する多くの自転車の姿を想像する方もいらっしゃるかもしれません。今の北京で広い道路を占拠しているのは多くの自動車です。北京は恒常的に渋滞していますが、特に通勤ラッシュの時間帯(朝は8時過ぎ、夕方は18時過ぎがピークです)には、全ての自動車が“路上駐車”状態となります。

もちろん、北京市政府も渋滞対策を何もしていないわけではありません。北京市政府は、指定番号(現在「1と6」など2つの番号が平日に限り指定されます)とナンバープレートの末尾の番号が一致する自動車のうち、公用車(北京市所在の中央国家機関、北京市の党政府機関、及び国有企業等の自動車)については終日、北京市内全ての道路での運転を禁止する措置を、公用車以外の自動車については7時から20時の時間帯、指定エリア(北京市中心地の約700k㎡の範囲であり、北京市の全てのオフィスエリアが含まれるといっても過言ではありません)の道路での運転を禁止する措置をそれぞれ採っています(但し、緊急車両、公共交通車両、タクシー等は規制の対象外です)。さらに、北京市政府は、公共バス専用レーンの増加、貸し出し自転車の増加等によるマイカーから他の交通手段への移行促進措置も検討しています。ナンバープレートによる措置によって社用車が一日使えなくなる在北京の日系企業からは、その日の足や運転手を出勤させるか(労働契約に従えば出勤させる必要があるが、出勤させてもやることがない・・・)で頭を悩ませているとの話も聞きます。

では、渋滞対策が採られていても、北京の渋滞が起こるのはなぜでしょうか?
中国のサイトを検索すると、「車両数が増えたから」、「頻繁に検問を行っているから」、「路上駐車の車両が多いから」というものから、「道路のつくりが悪いから」という身も蓋もないものまで様々な原因が挙げられていますが、原因の一つになっていると私が考えるのが交通事故です。

北京では交通事故を目にすることが少なくありません。とはいっても、大事故はほとんどなく、どれも多少ぶつかった程度のものです。私自身は北京で運転をしませんが、タクシーに乗っていると、急な割り込み、車線変更、右左折などの際、決して運転マナーがよいとはいえず、事故を起こさないかといつもヒヤヒヤさせられます。普段目にする交通事故もこうした運転マナーによるとの想像が容易にできます。実際に2013年の統計を見てみると、東京が自動車保有台数約443万台、交通事故件数約5万1400件(1.6件/100台)であるのに対して、北京は民間の自動車保有台数約517万台、交通事故件数約19万8300件(3.8件/100台)となっています。北京の統計はあくまでも民間の自動車保有台数であり公用車が含まれていないので、単純に東京の統計と比較はできないものの、やはり北京は東京と比べて交通事故が起きやすい都市といえるかと思います。

それはそうとして、問題は交通事故が起こった後です。事故車が道の真ん中に停車しているため、その後に大渋滞が起きています。事故車が動かないようであればやむを得ませんが、多少ぶつかった程度なのでそうとも思えません。
なぜ、道の真ん中に停車しているのでしょうか?
どうやら、交通事故の処理に関して定めている法令に答えがありそうです。中国では交通事故の処理方法について「道路交通安全法」、「道路交通安全法実施条例」、「道路交通事故処理手続規定」等で定められており、その中で、交通事故現場を現状のまま保護し、警察に通報するのが原則とされているのです(但し、物損のみでかつ事実関係や事故への責任、損害賠償について争いがない場合は、むしろ現場を離れなければならないとされています)。
日本では、交通事故を発生させた場合、道路交通法に基づき危険防止措置を講ずる必要が生じますが、この危険防止措置には通行の妨げになる事故車の移動が含まれることもあって、多少ぶつかった程度であれば、基本的には事故車を路肩に寄せていることが多いと思います。

中国と日本とでは交通事故の処理においても違いがあるんですね。

ちなみに、中国の地図会社である高徳の調査による2015年第一四半期の中国国内渋滞都市ランキングで、北京は堂々の第一位に選ばれています(以下、上海、済南、杭州、重慶の順位))。
ところが、オランダのナビゲーション会社TomTomの調査による2014年の世界渋滞都市ランキングでは、第一位イスタンブール、第二位メキシコシティー、第三位リオデジャネイロでトップ10にわれらが北京の名前がない!!上には上がいるんですね(北京は15位でした)。

2015/7/16

*本記事は、中国関連の一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

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