1999年に京都大学法学部を卒業されていますが、法学部を目指したきっかけは何でしょうか?

わたしの高校では2年生から文系と理系に別れ、わたしは文系に入ったのですが、親戚に公務員が多くいたこともあり、当時は、公務員になりたいという希望を持っており、その延長線上に法学部がありました。

弁護士になろうと決意されたのはいつごろでしょうか?

大学4年生の頃です。ただ、漠然とですが、弁護士という仕事を最初に意識したのは、大学の入学式に行くために京都に向かう新幹線で読んだ「訴訟社会アメリカ―企業戦略構築のために」という本を読んだときでした。この本は国際業務で有名な弁護士の先生が書かれた新書本なのですが、この本を読みながら、日本人の弁護士が外国の法的紛争に積極的に関与する場面があるんだと、そのとき非常に驚いたことは記憶に残っています。 大学では、ずっとサッカーに没頭していたのですが、就職活動に差し掛かる時期になり、自分の将来を考えたときに、公務員への興味は既になくなっていました。当時加入していた社会問題系のサークルで司法試験を目指す友人が多かったことも影響していると思いますが、自分も弁護士を目指してみようと決めました。

司法試験に合格されるまではどのような道筋でしたでしょうか?

一言でいえば、あまり順調ではなく、平坦ではありませんでした(笑)。最終合格するまでに7年間ほどかかってしまいましたので。
その間は、いわゆる苦学しながらの受験浪人生でした。京都のホテルのフロントスタッフやルームサービスのアルバイト、老人ホームの当直や介護補助のアルバイト、公務員予備校の講師のアルバイトなどをしながら学費等を稼いで勉強していました。そういえば、論文試験後の7月末から合格発表までの2、3か月間、長野県の農家に住み込んで高冷地野菜を栽培するアルバイトをしたこともありましたね(笑)。
今、振り返ると、少し長い受験生活でしたが、アルバイトとはいえ、将来の依頼者になりうる社会の色々な人達と同じ目線や立場で働く機会を得たことは、弁護士として仕事をする現在の自分にも非常に活きているように思います。

司法試験合格後、司法修習前に北京語言大学で1年間の語学留学をされていますが、そのきっかけや、北京での留学生活はいかがでしたか?

司法試験合格まで少し時間がかかったので、司法修習に行くのを1年間延期して何かしようという思いがありました。
わたしはずっと京都にいましたので、1年間で色々な国を巡って見聞を広げようか、または、ひとつの国に1年間滞在して何かをしようと思ったとき、ちょうど2002年に中国がWTOに加盟して非常に活気があると日本でも注目されていたので、中国に行くことを決めました。
ただ、それまで中国語は全く勉強したことがなく、「こんにちは」、「こんばんは」の区別がつかないくらいでしたので、留学先の北京では、毎日リュックの中に辞書を持ち歩いて生活する日々でした。その後、3か月間我慢して1日も休まずに大学の授業へ通い、また大学で知り合った中国人の友人と毎日昼ご飯を食べながらピンインの発音表を音読していたところ、少しずつ授業の内容や路上の中国人の話し声が耳に入るようになってきました。さらに留学後5か月目から大学の体育の先生のお宅に下宿させてもらいました。先生とそのご主人は二人とも日本語ができなかったので、朝から晩まで中国語を話さざるを得ない状況で、よいトレーニングになりました。留学中は、休みがあれば、フランス人や韓国人の留学生達と電車で旅行していました。夏には内モンゴルの草原、秋には平遥や西安の歴史遺産、冬にはハルピンの氷祭りなど、中国で旅行をする場所には事欠きませんでした。
留学時代の後半には、北京大学の授業を時々聴講に行ったり、北京にある日本の法律事務所を訪ねて日本の弁護士の先生がどのように中国法務に関与されているのかなどお話を伺う機会があり、次第に自分の中で中国法務をやってみたいと考えるようになりました。

黒田法律事務所に入るきっかけとなったのは何でしょうか?

2005年に北京から帰ってきてから、受験時代に指導していただいた吉村弁護士に挨拶に上京した際に、黒田法律事務所で中国を扱っているという話を聞き、福岡での研修に行く前に、黒田所長に挨拶する機会がありました。
それが黒田法律事務所に来るきっかけになり、その後に面接をしていただき、福岡での研修に行く前には黒田法律事務所に行くことを決めていました。
面接のときは、すべて中国語で質問をされましたが、当時の自分の中国語ではうまく受け答えできませんでした。矢継ぎ早の質問が続きとまどいましたが、黒田所長からは、誰でも最初からしゃべれるわけではなく、継続することが大事だということと、弁護士の仕事としては自分の好きで楽しい分野をやるべきだし、それがお客様の満足につながることほど幸せなことはないというお話をいただきました。
中国をやりたいという強い思いがあり、自分を成長させてもらえる場所だと考え、黒田法律事務所に入ることを決めました。

得意・注力している分野は、どのような分野でしょうか?

黒田法律事務所は、様々な業界や分野の企業様から中国への投資、企業管理、人事、買収、撤退、知的財産管理、権利侵害紛争、日々の日常的な法律相談まで、多種多様なご相談を受けており、わたしも様々な案件に関与しています。買収や撤退案件などは日常的にありますが、最近でいえば、日本企業が現地法人に対して厳格なコンプライアンス体制を求めることが増えており、その過程での不正調査対応といった案件も増えています。また数年前から、中国現地で生まれる発明の取り扱いを定める職務発明規程や日本本社ひいてはグローバル拠点間での発明の取り扱いを定めるルール作り、最終的な現地への導入までお手伝いする機会も増えています。いずれの案件でも、現地で交渉や調査に関与することが多く、自分のやりがいや醍醐味の一つになっていると思います。
今後、注目したい分野としては、独禁法や中国でも新たな法制化が進んでいるデータ規制の分野です。

黒田法律事務所の特長をお聞かせください。

他の人が取り組んでいないような分野の案件にも取り組める、という点でしょうか。わたしが司法研修所に入った時、中国案件に取り組みたいという人はクラス50人のうちでわたしひとりでしたが、当時から黒田法律事務所は中国案件に注力していました。今でこそ海外案件に取り組む弁護士は多いと思いますけれども。新しい分野を開拓していくことに対して非常に貪欲といいますか、そういう考え方が根底にあるのがよいところだと思いますね。