弁理士を目指したきっかけは何でしょうか?

大学は理系の学部でしたが、そのころから弁理士を目指していたわけではありませんでした。大学では電気を専攻していましたので、電気関係で仕事ができたらということで電線メーカーに就職をしました。
ただ、配属先はよく考えていませんでした。入社後1ヶ月の新入社員向け研修中に、たまたま特許部の存在を知り、また、特許の仕事について詳しい話を聞き、これはなんだか面白そうだと興味を持ちました。希望が通り特許部に配属された後に、初めて弁理士という資格があることを上司から聞きました。弁理士試験は、当時は合格率3パーセントと司法試験に次いで難関な試験だと聞きましたが、上司の強い勧めもあり是非チャレンジしてみようと決意しました。入社時、特許に興味を持った理由としては、電線メーカーは国内に限らず海外の事業もやっていましたので、特許はまさに国際的な仕事ができるのではないかというところにも魅力を感じました。もちろん、特許部にいると会社の新技術に接する機会が多いのが魅力です。

企業での仕事はいかがでしたか?

特許部には社内弁理士が2名いらっしゃいましたが、お二人からは大きな影響を受けました。技術屋の弁理士は特許明細書を作成することが主な仕事ですが、明細書を作成する技術において大変優れた能力をお持ちの方でした。わたしは大変刺激を受けて、良い明細書を作りたいという気持ちを入社当時から強く持ちました。入社して5年後の1990年に弁理士試験に合格し、その後1996年に1年間アメリカの法律事務所での実務研修に派遣されました。当時のわたしの上司が、アメリカの特許紛争はこれからますます増えていくだろうし、その対策を考えたときに現地の特許弁護士と意思疎通を図れるようなコネクションを持っておくことが重要だというお考えで、会社に強く働きかけて許可を取ってくださいました。会社で海外派遣の基準となる英語のレベルはある程度高いものでしたので英語の勉強にも力を入れました。留学経験がないのに家族帯同で渡米しましたので結構大変なこともありましたが、良い経験をしました。

海外派遣から帰国されて、2年後に黒田法律事務所に入所されていますが、大きなきっかけはなんでしょうか?

それまで裁判の経験というのはほとんどありませんでしたので、権利を取得した後の紛争解決の方面に興味があったのが一つの理由です。その当時黒田先生と知り合う機会があり、弁理士として何か貢献できるのではないかという思いと、実際の裁判に関わることができるのではないかという思いを抱き、入所を決意しました。

得意・注力している分野は、どのような分野でしょうか?

やはり弁理士ですので良い明細書を書くということでしょうか。わたしは契約書の仕事も好きです。明細書と契約書は似ているところがあると感じているところもあり、この2つは得意・注力している分野です。また、注力しているもう1つは特許紛争ですが、特許紛争においてわたしは弁護士をサポートする側に回りますので、弁護士が働きやすいようにということを心がけています。最善の準備をして会議に臨み、会議で与えられたクライアントからの課題について弁護士がやりやすいようにと常に考えながら仕事をしています。技術分野によっては自身の経験が少ない分野もありますが、その都度関連書籍を購入する等して勉強しながら対応します。特許といえば基本は明細書ですので、明細書に書かれている技術を正確に理解するために必要なことです。

黒田法律事務所の特徴をお聞かせください。

ありきたりな言葉かもしれませんが「業界の先達たれ」というところですね。他の事務所ではやらないことにどんどんチャレンジし続けるという方針で動いていると強く感じます。例えば東南アジア、ASEANでしょうか。フィリピン、インドネシアに関しては当事務所で既に書籍も出しています。今後どのような案件で法的リスクが増えていくかということを考えたときに、やはり経済発展をしているASEANだろうと思います。ASEANでは知的財産の活用が進み、知的財産に関する紛争も増えていくのではないかと思います。いつごろからという予測は難しいですが、注目すべきだろうと思います。