第92回 企業間貸付
1990年代以降、企業間貸付の法的効力は、「一律無効」から「条件付きで有効」へと根本的に変遷を遂げてきました。この変遷は、中国の金融規制政策の段階的緩和を反映するとともに、市場経済主体の資金調達ニーズに対する司法実務の積極的な対応を示しています。この変遷の経緯及び現行の法的規則を正確に理解することは、企業が法令に適合した資金融通を実施し、法的リスクを回避する上で、重要な現実的意義を有します。
1990年代、中国は金融秩序に対して厳格な規制・管理を実施しており、貸付は特別の許認可を要する金融業務と位置付けられ、非金融企業はこれに従事することができませんでした。
このような背景のもと、企業間貸付は全面的に禁止されており、その主な規範的根拠は、中国人民銀行が1996年に公布した「貸付通則」第61条の「……企業間においては国の規定に違反して貸付又は貸付に等しい融資業務を行ってはならない」という規定にありました。
また、同年9月には最高人民法院の「企業間貸付契約の借入側が期限を超過しても借入金を返済しない場合の処理方法に関する回答」においても、司法実務上「企業間貸付契約は関連する金融法規に違反するため、無効な契約に該当する」ことが明確にされました。
そのため、実務上、企業間貸付については、一般的に銀行による委託貸付の形式で行うべきとされていました。しかし、実務上、委託貸付では通常、借入人に対し定期的な元利金の返済が要求されるため、借入人のキャッシュフローに圧力がかかり、財務負担が増大するとともに、銀行に委託貸付手数料を支払う必要があり、資金調達スキームのコストが増加するという大きな欠点が存在しました。
経済発展の深化と司法実務上のニーズの高まりに伴い、2013年前後から、最高人民法院の一部の判決では、「貸付通則」のみに基づいて企業間貸付を一概に無効と認定すべきではないとする見解が示されるようになりました。
2015年9月に施行された「民間貸付事件の審理における法律適用に関する若干の問題についての最高人民法院の規定」の第11条で、企業間貸付の条件付き適法性が初めて正式に認められました。同条では、「法人間、その他の組織間及びそれらの相互間において、生産・経営上の必要性から締結された民間貸付契約は、契約法第52条、本規定第14条に定める事由が存在する場合を除き、当事者が民間貸付契約の有効性を主張する場合、人民法院はこれを支持するものとする」と定められています。
特に、2020年に改正公布された「民間貸付事件の審理における法律適用に関する若干の問題についての最高人民法院の規定」は、企業間貸付の条件付き適法性をさらに肯定し、同規定第10条では、「法人間、非法人組織間及びそれらの相互間において、生産・経営上の必要性から締結された民間貸付契約は、民法典第146条、第153条、第154条及び本規定第13条に定める事由が存在する場合を除き、当事者が民間貸付契約の有効性を主張する場合、人民法院はこれを支持するものとする」と定められました。すなわち、人民法院は、企業間の一時的な資金融通について、一定の条件を満たす限りこれを是認するとするものです。
「民法典」及び2020年の司法解釈によれば、企業間貸付が有効と認められるための核心的条件は、以下のとおりです。
- 借入目的:生産・経営上の必要性に基づくものでなければならない。固定資産投資又は株式投資に用いてはならない。
- 資金の出所:企業の自己資金でなければならない(株主が払い込んだ資本金及び経営により積み立てられた未分配利益等を含む)。金融機関からの借入金を流用して貸し付けることや、資金を募集して貸し付けるといった行為は無効となる。
- 貸付人の資格:貸付人は職業的貸付人(業として貸付を行う者)であってはならない。
- 金利条件:契約成立時の1年物最優遇貸出金利(LPR)の4倍を超えてはならない。
- 形式条件:書面契約でなければならない。
これにより、現行の法的枠組みの下では、企業間貸付の有効性は、生産・経営上の必要性、自己資金、非職業的貸付、金利の適法性、書面契約が核心的条件となりました。企業が資金融通を実施するに当たっては、上記の条件を満たすことを前提として、取引相手の信用リスクを慎重に評価し、契約文書を適正化し、コンプライアンス管理を適切に行い、企業間貸付が資金配分の最適化及び実体経済の発展支援において果たす積極的役割を十分に発揮させると同時に、潜在的な法的・商業的リスクを効果的に回避すべきであると考えます。
以上
*本記事は、一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。
