第95回 中国AI製品のコンプライアンス届出についての解説

中国におけるAI製品の法的な登記及び届出は単一のプロセスではなく、システム化されたアルゴリズム届出+大規模モデル届出/登記という二つの届出を組み合わせた体系です。企業は自身のビジネスモデル及びAIモデルの利用方法に基づき、対応するコンプライアンスルートを合わせる必要があり、同時に複数の基礎的なコンプライアンス要件を実行してはじめて、適法でコンプライアンスに適合した運営を実現することができます。

一、中核となるコンプライアンス体系:届出の3種類のルートをビジネスモデルに正確に合致させる

AIコンプライアンスの核心となるロジックは、企業と基盤となるAIモデルとの提携及び開発関係に基づき、3つの専用コンプライアンスルートに区分することです。そのうちアルゴリズム届出は共通の基礎的な届出であり、大規模モデル登記及び大規模モデル届出はシーン別の特別な届出であって、これら3つにはそれぞれの職責があり代替は不可能であり、また、アルゴリズム届出と後者の2つの特別な届出は並行関係にありますが、これは多くの企業が最も見落としやすいコンプライアンスの重点でもあります。

(一)アルゴリズム届出:全シーンにおける基礎的な必須の届出

アルゴリズム届出の核心的な位置づけは「普遍的なコンプライアンス要件」であり、「インターネット情報サービスアルゴリズム推薦管理規定」や「インターネット情報サービスディープシンセシス管理規定」等の規定によれば、その核心的な目的はアルゴリズムの適用行為を規範化し、ユーザーの権益を保障し、社会の公共の利益を守り、アルゴリズムの濫用(アルゴリズムによる差別、フィルターバブル、フェイク情報の生成等)を防止することです。

世論的属性又は社会的動員力を有するアルゴリズム推薦サービスの提供者は、サービスの提供を開始した日から10営業日以内に、インターネット情報サービスアルゴリズム届出システムを通じてサービス提供者の名称、サービス形式、適用分野、アルゴリズムの種類、アルゴリズムに関する自己評価レポート、公示予定内容等の情報を申告し、届出手続を履行しなければなりません。

(二)大規模モデル登記:サードパーティAPIコールの場合の専用ルート

企業がAIの大規模モデルの研究開発を自社では行わず、サードパーティのコンプライアンス届出済みの大規模モデルをAPIインターフェースを通じて呼び出すだけであり、かつAIモデルの出力内容に対して実質的な改変を行わず、簡単な表示や基本的な適応を行うにとどまる場合は、大規模モデル登記ルートを選択できます。当該届出は、所在地の省レベルのインターネット情報弁公室が審査を担当します。

(三)大規模モデル届出:自社開発及び二次開発の場合の専用ルート

大規模モデル届出はコンプライアンス要件が最も厳しく、プロセスが最も厳格な特別の届出であり、企業が自社で大規模モデルの研究開発を行う、又はオープンソースの大規模モデルを基に二次開発やディープファインチューニングを行うビジネスシーンに専ら適用されます。当該届出では二段階審査の仕組みを実施しており、所在地の省レベルのインターネット情報弁公室が一次審査を行い、国家インターネット情報弁公室が最終審査を行います。届出の中核的資料は専門的な「セキュリティ評価報告書」であり、モデルの学習データのセキュリティ、アルゴリズムの技術アーキテクチャ、コンテンツのリスク予防・制御、プライバシー保護能力などの技術的次元に関する要求が厳しく、自社開発を行うAI企業が必ず乗り越えなければならないコンプライアンスの重点です。

二、アルゴリズム届出、大規模モデル登記及び大規模モデル届出の比較まとめ

比較内容 アルゴリズム届出 大規模モデル登記 大規模モデル届出
監督管理対象 世論的属性又は社会的動員力を有するアルゴリズム 世論的属性又は社会的動員力を有する生成AIサービス(APIインターフェースを通じてサードパーティのコンプライアンス届出済みの大規模モデルを呼び出すだけであり、かつAIモデルの出力内容に対して実質的な改変を行わないもの) 世論的属性又は社会的動員力を有する生成AIサービス(自社で大規模モデルの研究開発を行う、又はオープンソースの大規模モデルを基に二次開発やディープファインチューニングを行うもの)
法的根拠 「インターネット情報サービスアルゴリズム推薦管理規定」及び「インターネット情報サービスディープシンセシス管理規定」 「生成AIサービス管理暫定弁法」 「生成AIサービス管理暫定弁法」
提出方法 インターネット情報サービスアルゴリズム届出システムへ提出する 所在地の省レベルのインターネット情報部門へ提出する 所在地の省レベルのインターネット情報部門へ提出する
審査期間 30営業日 1~3か月 3~6か月
適用シーン アルゴリズム 生成AIサービス 生成AIサービス

以上


*本記事は、一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。