第13回 会社の適切な会議の実施に関する規則 – 第2部

皆さん、こんにちは。Poblacionです。前回の第1部では、取締役会の適切な招集及び実施に関する規則や要求事項についてお話しました。今回の第2部では、株主総会に関する規則についてお話しましょう。

B. 株主総会

頻度

取締役会同様、株主総会にも以下の2つの種類があります。

(a) 定時株主総会
(b) 臨時株主総会(必要に応じて招集)

定時株主総会は、毎年付属定款に規定された特定日に開催されます。定時/年次株主総会では、株主らが取締役会のメンバーを選任し、経営陣及び取締役会による会社行為を承認します。また、総会では会社の経営に関する財務報告が、取締役会から株主らに対して正式に提示されます。定時/年次総会の重要性を踏まえ、何らかの有効的かつ実質的理由がない限り、取締役会が総会の開催を延期したり中止したりすることはできません。例えば、単に新任の取締役らの選任を先延ばしにしたり、現職の取締役らの任期を延長したりするために、定時/年次株主総会の日程を遅らせることはできません。

一方、臨時株主総会は、取締役会が必要と判断した場合、あるいは付属定款の規定に従って、いつでも開催することができます。

通常、株主総会を招集することができるのは社長です。しかしながら、総会を招集する権限を有する人物がいない場合、ある株主が正式な理由に基づいた申立を行った場合には、証券取引委員会(SEC)が、株主に総会の招集を指示することができます。

会議の場所

株主総会は、会社の本社で開催することが望ましいですが、もし難しい場合は、本社所在地の市又はその他行政区域内であれば開催することが可能です。

通知

定時総会の通知書は、付属定款に別途時期が規定されている場合を除き、総会の2週間前までに全株主に送付しなければなりません。また、臨時株主総会の場合は、総会の1週間前までに株主に通知を送付する必要があります。

通知には、総会の日時及び場所、並びに総会の議題を記載します。通常、通知には委任状が添付されています。株主はこの委任状により、株主総会に出席して代理投票する代理人を指名することができます。公開会社や、5000万ペソを超える資産を有し100株以上の株式を保有する株主が200名以上いる会社の場合、適用される通知の要件はさらに厳しくなります。例えば、公開会社は、株主総会通知と共に、現況報告書及び年次報告書のコピーを株主に提供する必要があります。

取締役会の場合と同様に、株主総会の通知も、会社の付属定款において電子メールでの通知の送付が認められていれば、電子メールで送付することができます。

では、もし通知に瑕疵があった場合、例えば、定時総会の通知が総会の1週間前に株主に送付された場合、どうなるでしょうか?この場合、瑕疵のある通知によって損害を被った株主は、訴えを起こし、総会の適切性に異議を唱えることができます。しかしながら会社法の規定によれば、取締役は、明示的にあるいは黙示的に通知要件の制限を受けない場合もあります。また、法の条文によれば、仮に不適切に開催又は招集された総会において承認された取引であったとしても、株主全員が直接又は適切な代理人を通じて総会に出席しており、当該取引が会社の権能の範囲内である場合、その取引は有効とみなされます。

定足数

原則として、会社の発行済み株式の過半数が、会社行為に関する有効な定足数となります。一方、会社が付属定款により、定足数を発行済み株式の過半数より多く設定することも、少なく設定することも認められています。

ただし、会社行為の中には、特別多数の株主による承認を必要とするものもあるため、ご留意いただく必要があります。かかる行為には以下が含まれます。

  • 定款の変更:発行済み株式の3分の2以上の賛成票又は同意書が必要
  • 取締役の解任:議決権付発行済み株式の3分の2以上の賛成票が必要
  • 増資、減資、担保付債務の招来、作出又は減縮:発行済み株式の3分の2以上の賛成票が必要
  • 会社の財産及び資産の全部又は実施的全部の売却、リース、交換、抵当権設定、質権設定又は処分:発行済み株式の3分の2以上の賛成票が必要
  • 合併又は統合:発行済み株式の3分の2以上による承認が必要

上記会社行為のいずれかを株主総会で取り上げる場合、会社は総会の出席者が確実に定足数を満たすだけでは総会が適切に招集されたとしても、会社行為の承認に必要とされる賛成票を獲得することができなくなります。

会議の実施

付属定款に別段の規定がない限り、社長が株主総会の議長を務めます。

取締役本人が直接(又は電話会議/テレビ会議を通じて)参加しなければならない取締役会とは異なり、株主総会は株主が委任状により総会に「出席」し票を投じることが認められています。なお、委任状は書面で作成され、株主がこれに署名し、委任状の提出期限までに会社秘書役に提出される必要があります。


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