第38回 フィリピンでのお買い物

皆さん、こんにちは。Poblacionです。皆さんはバーゲンでお買い物をするのがお好きですか?お好きであれば、是非、格安でお買い物が楽しめるフィリピンにいらしてください。マニラでは、靴が300ペソ(約820円)、シャツが150ペソ(約410円)、アクセサリーが100ペソ(約270円)もしない安い値段で売られています。メカが好きな方には、3,000ペソ(約8,200円)という値段で売られているフィリピンブランドのスマートフォンもあります。家具や電化製品等の家庭用品も、マニラでは東京よりはるかに安い値段で買うことができます。

今回はフィリピンでお買い物をしようと思われた方のためにちょっとしたアドバイスと、消費者として知っておくべき規則についてお話いたします。

製品保証を確認しましょう

フィリピンの法律に基づき、製品保証に関しては、以下の2種類があります。

(a) 明示的保証: 販売者が明示的に与える保証
(b) 黙示的保証: 法律の運用により適用される保証、

販売者による明示的保証(例えば、腕時計の耐水性に関する5年間保証)がある場合、その保証の全詳細を明確かつ分かりやすい言葉で記載することがフィリピン法により義務付けられています。その全詳細には、保証の具体的範囲、保証期間および保証を受けるために購入者がすべきことが含まれていなければなりません。

販売者から明示的保証が提供されなかった場合(あるいは購入者が要求することを忘れてしまった場合)でもご安心下さい。フィリピン民法に基づき、売買取引には様々な黙示的保証がついてきます。その重要な黙示的保証の1つが、隠れた欠陥、すなわち、購入時には知らなかった、あるいは知り得なかった欠陥に対する保証です。この保証の期間は、(発令される法律により)6ヶ月から1年です。ただし、中古品や現状販売には黙示的保証は適用されませんのでご注意ください。

保証は、保証書や製品を購入した際の領収証を提示するだけで受けることができます。欠陥製品が明示的保証の対象である場合には、以下のいずれかが可能です。

(a) 製品を修理させること
(b) 交換品を要求すること
(c) 購入を取り消して購入価格に相当する返金を求めること

これに対し、欠陥製品が黙示的保証の対象である場合には、以下のいずれかが可能となります。

(a) 製品を保有したまま、販売者に損害賠償を求めること
(b) 購入を取り消して購入価格の返金と損害賠償を求めること

返品も交換も受け付けない?とんでもない!

事業者が「返品なし、交換なし」のポリシーを採用したり、これと同様の記載を領収証に印刷したり店内に掲示したりすることは、貿易産業省(DTI)によって禁止されています。「返品なし、交換なし」のポリシーは、詐欺的であると判断されます。なぜなら、購入者はいつでも、販売者の保証義務に基づき、欠陥製品の修理もしくは交換、又はその購入価格の返金を要求できることになっているからです。

ただし、返金や交換を要求できるのは、製品に隠れた欠陥がある場合に限られますので注意が必要です。例えば、購入したカメラが支障なく使えるのに、別の色がよいからと言って製品の交換を販売者に要求することは、法律上認められません。また、別の店舗で同じカメラがさらに安い値段で売られていた、あるいは、カメラを買ったことを後悔している、というような理由で返品や返金を要求することもできません。

どんな支払方法でも価格は均一

クレジットカードでの取引は、通常、販売者にとってコスト高になります。クレジットカード払いの決済には、銀行手数料の支払が追加で発生するためです。これにより余計なコストがかかることから、1つの製品に (a) 通常の現金価格と、(b) 通常より高いクレジットカード価格の2種類の値段をつける事業者もいます。しかし、このような手法はDTIによって禁止されています。事業者は、クレジットカード取引に追加手数料を請求してはいけません。購入者がどのような支払方法を選ぼうと、現金又はクレジットカードのいずれで支払おうと、値札に記載された価格だけ支払えばよいことになります。

詐欺的、不公正的、非良心的な販売行為には気をつけましょう

販売者が、事実を隠したり、事実を偽ったり、詐欺行為をしたりして購入者を騙し、製品を購入させた場合、違法となります。例えば、販売者は、新品同様にしただけの中古携帯電話を、新品の未使用品であると言って売ることはできません。また、購入者に自分の製品を買わせるために、有名ブランドとの関係性や人気のある人物による推奨を偽って謳うこともできません。

販売者は、詐欺行為の他にも、不公正的な又は非良心的な販売行為を行なってはなりません。販売者が、購入者の身体的又は精神的障害、非識字や時間の不足、又は周囲を取り巻く環境全体の状況を利用し、購入者にとって著しく不利であったり、販売者が一方的に得をしたりするような取引を購入者に結ばせた場合、不公正的又は非良心的な行為とみなされます。

フィリピンでの買い物は楽しいですが、「セールストーク」に長けた販売者もたくさんいますので、気をつけてください!買い物(特に高額の買い物)をする時には、よく注意して状況を判断し、常に調査を行ない、買いたいと思った製品を十分に見極めてください。

違法な取引行為を認識した場合やその被害者になった場合には、ためらわずにDTIにその違法行為を報告してください。消費者からの苦情として届出をする場合には、こちらからDTIに連絡することができます。


*本記事は、フィリピン法務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。フィリピン法務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。