第12回 台湾における取締役会の書面決議に関する改正状況など(本コラムの第4回の内容につき改正による変更あり)

 本コラム第4回「台湾において取締役会を書面決議により行うことは可能か」において、台湾では取締役会が書面決議を行うことができないという内容を紹介させていただいたが、2018年の改正により株券を公開発行している会社以外の会社では一定の条件のもと、取締役会の書面決議を行うことができるようになった。

 具体的には、会社法第205条第5項において、「会社定款において全取締役の同意を経ることで、取締役がその回の取締役会の議案について書面の方式をもって議決権を行使でき、実際に会に集まらないことも可能とする。」という規定が新たに設けられ、定款に「於經本公司全體董事同意,董事就當次董事會議案得以書面方式行使表決權,而不實際集會」と明記した上で、且つ当該回の取締役全員が同意した場合、当該取締役会の議案について書面決議が可能となる(定款変更には株主総会の特別決議が必要である)。

 この点、日本の会社法では、「取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。」とされており、やはり定款にあらかじめ規定しておくことで、書面やメールという手段で取締役会決議が可能となっている。

 また、本コラム第4回「台湾において取締役会を書面決議により行うことは可能か」において、株主総会の書面決議についても台湾では行うことができず、また、テレビ会議システムを使っての決議も行うことができないと説明していた。

 このうち、書面決議については例外があり、閉鎖性株式会社(株主50人を超えず、定款で株式譲渡制限を定める株式会社)であれば、定款に「於經本公司全體股東同意,股東就當次股東會議案得以書面方式行使表決權,而不實際集會」と明記した上で、且つ当該回の株主全員が同意した場合、当該株主総会の議案について書面決議が可能である(会社法第356の8条参照)。

 そして、テレビ会議システムを使っての株式総会決議については、2018年の改正により株券を公開発行している会社以外の会社においては定款に明記することにより行うことが可能となった(会社法第172の2条参照。同条第1項によれば、テレビ会議システムを使う方式以外の中央主管機関が公告する方法による決議が認められる余地が規定されているが、現時点で特に公告はなされていない)。

 本コラム第8回「取締役会(董事会)における招集手続について」において、台湾法上、「過半数の董事は、董事長に対して書面に提議事項と理由を記載して董事会の招集を請求することができます(会社法第203条の1第2項)。」という内容や「董事会の日の3日前までに各董事と監査役に対してその通知をしなければなりません(同法第204条第1項)。しかし、定款の定めによってはその期間を延長することが可能です(同項但書き)。」という内容を紹介した。

 なお、当該内容は原則規定であり、参考まで本コラムにおいて例外規定の内容を紹介する。
具体的には、同法第204条第3項に「緊急の事情があるときには、取締役会の招集はいつでも行うことができる。」とされ、「書面に提議事項と理由を記載して董事会の招集を請求」という点に関しても、関係者の同意を得れば、電子メールを使って招集通知を送ることも可能と解される(同法第204条第4項参照)。このような電子メールを使って招集通知を送る場合においても取締役会の招集理由については当該通知の中に明確に記載しなければならない点は変わりないことについてはご注意いただきたい。

以上


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介
弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。