第4回 セクハラにはご注意を!!

みなさん、こんにちは。黒田日本外国法律事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

段々と涼しさが増してきましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

さすがに11月ともなれば、半そでだと少し寒さを感じますね。ただ、さすがに台湾は南の島、多くの日本人からすれば、まだ本格的な冬は先かなって思われるのが普通じゃないですかね。でも、台北では、急に厚着を始められる人が多いように感じます。10月中旬過ぎにダウンやセーターを着込んでいる人を見かけましたもん。

なんでだろうって、台湾人と少し話してみたのですが、「バイク乗る人が寒いからじゃないか」という意見があり、なるほどと思いました。確かに、バイク乗りは多いし、風切って走ると寒そうですもんね〜。単に、冬のおしゃれを長く楽しみたい人もいるんでしょうが、バイク乗りっていう説は説得的ですよね!!

さて本日は、台湾のセクハラ防止のための法律について、日本と比較しながら簡単に紹介したいと思います。

日本では、セクハラ防止について、いわゆる雇用機会均等法の中で、事業主に対して、「セクハラ防止のために雇用管理上必要な措置を講じなければならない」という義務を課す形で規定しており、具体的な措置の内容についてはガイドライン(指針)の形で定められています。

これに対して台湾では、セクシャルハラスメント防止法(中文では、「性騷擾防治法」といいます)という独立の法律が定められており、法人や雇用主等に対し「セクハラ行為の発生を防止しなければならない。セクハラ行為の発生を知り得た場合には、直ちに効果的な是正及び救済措置を講じなければならない。」という形で義務が課されています。

この台湾のセクハラ防止法の中で、日本にはない規定として、ユニークだと思ったのが、セクハラを行った者が政府機関から罰金に処せられる規定ですね!!罰金の金額はちなみに、1万新台湾ドル以上、10万新台湾ドル以下です。多いか少ないかは別にして、日本ではセクハラ加害者に政府機関から罰金は科されることはないですね〜。

もちろん、被害者に対して損害賠償責任を負う可能性はありますよ。台湾では、被害者に対して負う損害賠償責任以外に、罰金も科されるんです。台湾自体が、セクハラに厳しく対処しているというアピールともいえますし、少しでも罰金収入を増やしたいのかなって気もします。でも、これで、セクハラ行為が無くなれば万々歳ですよね。

その他、台湾のセクハラ防止法では、セクハラを意図して、抵抗・拒絶する間もなくキスする行為や抱きしめる行為、お尻、胸などに触る行為を行った場合、2年以下の懲役、拘留もしくは10万新台湾ドル以下の罰金に処し、又はこれらを併科されることが明記されています。

日本でも、抵抗・拒絶する間もなくキスする行為や抱きしめる行為、お尻、胸などに触る行為を行った場合に強制わいせつ罪に問われる可能性があるので同様といえば同様なんですが、これだけ明確に記載してはいません。台湾のように明確に規定することで一定の抑止効果が期待できるんじゃないですかね。

台湾でもこんな感じで厳しくセクハラは禁じられていますので、みなさまくれぐれもご注意を!!そうそう、日本からの出張者にだって、台湾の法律は厳格に適用されますんで、海外出張で開放的な気分になったりしかねない危険な方には、事前に警告しといたほうがよいですよ〜。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。