第22回 台湾の食品についての法規制

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

台湾でも暖かくなったと思えば、寒気団がやってきて寒くなったり、なかなか一気に春が来るわけではありませんね〜。台湾の立法院の周りに集まっている学生などの映像を見ていると、屋外で夜を明かすのは非常に寒そうで、見ていて気の毒に感じました。ある新聞では火を焚いて暖をとっている姿が報道されていましたよ。もちろん海峡両岸サービス貿易協議の審議過程に不満の意を表明するために集まっている多くの人の気持ちは熱く燃えているのは間違いないでしょうけど。

本日は、台湾の食品についての特徴的な法規制について紹介したいと思います。

食品安全衛生管理法という法律に、慢性的な病を招きやすい、又は児童が長期間に渡り摂取するのが不適当な食品などについて、中央主管機関がその販売促進活動や広告を制限できるという規定があります。

「慢性的な病を招きやすい」食品について上記のような制限をするのは、慢性的な病になる人が増えれば、その結果、政府が負担する医療関連費用が増大し、台湾の予算自体に悪影響を与えてしまうでしょうから、それを防ぎたいんでしょうね。
また、「児童が長期間に渡り摂取するのが不適当な」食品について上記のような制限をするのは、成人に比べ判断能力、自制心に劣る(成人でもなかなか自制するのは難しいのは私も同じですので、そこは突っ込まないでくださいね〜)児童が、日常的に一定の食品を摂取することで肥満や病気になるのを防ぐためであると思います。

日本もそうですが、台湾もアメリカの影響が強いので、ファストフード、ジャンクフードを子どものころから好んで食べて(親がそれを許して)肥満児になってしまうパターンがあるんでしょうね。私の感覚では、台湾は中国よりは太っている子どもが少ない気がしますが。これは、あくまで私見です。中国は一人っ子政策のため、一人の子どもが6つの財布で支えられていると言われており(6つというのは、両親と、そのそれぞれの祖父母です。こういう子どもを指して「小皇帝」とよく言うんです)、甘やかされて育つ「小皇帝」の中には、太っちゃう子もいそうじゃないですか〜。

台湾では「児童が長期間に渡り摂取するのが不適当な」食品については、さらに政府(衛生福利部)が、広告や販売促進活動や広告を管理する法律(草案)を昨年の11月に公表し、広く、国民に対し同草案についての意見を求めました。

ちなみに、同草案には、「脂質」「トランス脂肪酸」「塩分」「糖質」などが一定の割合に達する食品については、子ども向けのテレビ番組でのCMが禁じられる規定や、玩具を提供するなどの方式の販売促進活動を行ってはならないという規定も置かれていました。まだ、この内容で正式に法律として成立するかは未定ですが、「脂質」や「塩分」が高いと思われますハンバーガーなどに子ども向けの景品をセットにして販売するという、日本ではおなじみの手法が台湾では行えなくなるかもしれません。

もっとも、2011年に台湾において、「科学的証拠から明らかに肥満や高血圧を引き起こす食品」については、その販売促進活動、広告を制限できるとした規定を含む「国民栄養法」という法律の草案ができましたが、いまだに正式な法律として公布されていませんので、結局、上記法律についても成立するかは定かではありません。

それでも、少なくとも法をもって、健康を守ろうという意思は感じることができます。日本でもメタボ検診を義務化するなど一定の努力がなされているのでしょうが、子どもにフォーカスして法律をつくろうという動きはまだないんじゃないですかね。

タバコに関しては、未成年者喫煙防止のための法律がありますので、いずれは子どもの肥満防止について規定した法律が日本でもできるかもしれませんね〜。ただ、私は小さい頃、野球カード欲しさにせっせとポテトチップスを買ってましたので、「そこまで法律で縛らなくてもなぁ」という気もしちゃいます(一定年齢以下の方には「何のこっちゃ」と思われるかもしれませんが、人気プロ野球選手の写真付きカードがおまけとしてついているポテトチップスがあったんです。今もあるのかなぁ…)。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。