第30回 SEO対策と商標権侵害

SEO対策とメタダグについて

SEO対策とは、検索エンジン最適化(search engine optimization)のことで、Google、Yahoo!、Bingなどの検索エンジンの検索結果において、特定のウェブサイトが上位に表示されるよう、当該ウェブサイトに対するウェブサイトトラフィックの質と量を改善することをいいます。

SEO対策の1つとして、検索エンジンがウェブサイトを評価しやすいようにメタタグを最適化することがあります。メタタグとは、ウェブサイトの情報を検索エンジンやブラウザなどに伝えるHTMLタグのことをいい、タイトルタグ、メタディスクリプション、メタキーワードなどがあります。いずれも、ウェブサイトの画面には表示されないHTMLで記述された情報にすぎませんが、検索エンジンがウェブサイトの内容を理解・評価する上で必要となる要素です。

タイトルタグやメタディスクリプションは、検索エンジンの検索結果に表示されますが、メタキーワードは、ウェブサイトの情報がどのようなキーワードと関連したものなのかを検索エンジンに伝える役割をかつて果たしていたものなので、ウェブサイトの画面にも検索エンジンの検索結果にも表示されません。

メタタグの記載と商標権侵害

ようやく本題に入りますが、メタタグに、第三者の登録商標と同一または類似する記載をした場合、当該第三者の商標権を侵害することになるのでしょうか。

商標権侵害とは、登録商標を使用する正当な権利や理由のない者が、業として、登録商標を登録されている指定商品・指定役務について使用する行為をいいます。また、登録されている範囲と同一のものに加えて、商標または指定商品・指定役務の類似範囲での使用も商標権侵害になります。

そして、商標を「使用」するというためには、自己の商品・役務であることを需要者に示す形で商標を使用することが必要であり、これを商標的使用といいます。

では、メタタグに、第三者の登録商標と同一または類似する記載をした場合、商標的使用に該当するといえるのでしょうか。

この点について、タイトルタグやメタディスクリプションに関しては、検索エンジンの検索結果に表示されることから、自己の商品や役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に該当し、また、検索エンジンの検索結果にタイトルタグやメタディスクリプションの記載が表示されることでウェブサイトで取り扱われている商品や役務の出所を表示するものであることから商標的使用を認め、商標権侵害とした裁判例があります(東京地判令和元年5月23日、大阪地判平成17年12月8日)。他方、メタキーワードに関しては、一般に、検索エンジンの検索結果にキーワードが表示されることはないこと、商標法2条3項所定の「使用」は、需要者の知覚による認識が行われる態様での使用行為を規定したものと解するのが相当であることなどを理由に、メタキーワードの記載は知覚により認識される態様で使用されていないため、商標的使用には該当しないとして商標権侵害を否定した裁判例があります(大阪地判平成29年1月29日)。

いずれの裁判例も、ウェブサイトの表示は、商品や役務に関する広告であり、検索エンジンの検索結果において表示される当該サイトの説明についても、同様に、その商品・役務に関する広告であるという考えを元に、商標的使用に該当するか否かが検討されています。

最後に

自社のウェブサイトを立ち上げ、当該ウェブサイトへのアクセス数を増やすためにSEO対策を実施することがありますが、業者に任せっきりにすることなく、第三者の商標権やその他の権利を侵害しないように配慮することが必要です。

以上


*本記事は、法律に関連する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者

カウンセル 弁護士 笹倉 興基