台湾の「商品表示法」

商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止し、一般消費者の利益を保護することを目的とした、日本の「不当景品類及び不当表示防止法(通称:景表法)」に類似する法律として、台湾には「商品標示法」(日本語訳:商品表示法)があります。

以下、同法の主なポイントについてご紹介いたします。

1.表示義務者

同法の適用対象、すなわち商品標示が義務付けられている「標示義務者」について、同法第5条は以下のとおり規定しています。

「商品が市場に流通する際に、商品の製造業者、委託製造業者、輸入業者又は小分け業者は、商品表示をしなければならない。」

2.要表示内容

商品上に表示しなければならない内容は以下のとおりです(同法第6条1項各号)。

  • 商品名称
  • 下記状況の一つに該当する場合、台湾業者の名称、住所及びサービス電話を表示すること

A)台湾で製造された商品:製造業者、委託製造業者又は小分け業者

B)輸入商品:輸入業者又は卸売業者

  • 原産地
  • 主要成分又は材料
  • 正味重量、容量、数量又は度量など
  • 中華民国暦又は西暦の製造年月又は年週
  • その他の中央主務官庁の公告した表示すべき事項

なお、輸入された商品である場合は、上記に加えて国外製造業者又は国外委託製造業者の外国語名称も表示しなければなりません(同法第6条2項)。また、上記⑹において製造年週を表示する場合には、文字による説明を補足する必要があります(同法第6条4項)。加えて、商品に①危険性がある場合、②衛生安全に関係する場合、③特殊な性質を有する、又は特別な扱いを必要とする場合には、その用途、使用と保存方法及びその他注意すべき事項をも表示しなければならなりません(同法7条)。

3.表示言語

商品表示に用いる言語については、「商品表示に用いる言語は、中国語を主とし、英語又若しくはその他の外国語でこれを補うことができる。」と規定されています(同法第11条本文)。

もっとも、下掲の内容については、国際通用用語又は記号で表示することも可能です(同条但書前段)。

  • 原産地/主要成分又は材料
  • 正味重量、容量、数量又は度量など
  • 中華民国暦又は西暦の製造年月又は年週
  • その他の中央主務官庁の公告した表示すべき事項

4.表示箇所の指定

同法上表示が義務付けられている上記1ないし3の内容は、商品本体、パッケージ、取扱説明書のいずれかに記載があれば足ります(同法第10条2項)。

5.罰則規定について

同法に違反した場合には、管轄官庁から陳列・販売の停止等の要求及び、改善まで連続的に過料が科されるおそれ、並びに、営業の停止または閉鎖等を命じられるおそれがあります(同法第16条ないし第19条及び、第21条)。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修 弁護士 秋口麻貴