第578回 医療機器の申請プロセス
台湾への医療機器参入を検討する企業は、現地における医療機器の承認申請手続きが必要です。
台湾の医療機器の承認手続きには、簡略化された「登録」(一部のクラスI医療機器のみ対象)と、通常の「審査登記」(大多数の医療機器が対象)という二つのルートがあります。
医療機器に該当するか
最初のステップとして、自社製品が台湾における「医療機器管理法」の定義に該当するかどうかを確認する必要があり、「医療器材分類分級管理辦法」という規則を参照し、該当する項目を照合します。
輸入製品の場合、原産国での取扱い状況も参考になりますが、最終的な判断は台湾の規制をもって行われます。
判断が難しい場合、TFDA(衛生福利部食品薬物管理署)に対し「医療機器属性管理照会」を申請し、公式な判断を受けることも可能です。
類似品がないか
製品が医療機器に該当することが確認できた場合、次のステップはクラスの特定と類似品の確認です。
TFDAが公表している分類ルールに従い、クラスI、II、IIIのいずれに該当するかを判断します。併せて、TFDAが運営する許可証検索システムを使って、既に承認されている類似品がないかを調査することが重要です。
ここでいう類似品とは、使用目的と技術的特徴が申請製品と同等である、あるいは使用目的は同等でも技術的特徴が異なりつつも安全性や効能に影響がない医療機器を指します。
特にクラスIIおよびIIIの製品を申請する場合には、最も近い類似製品の資料を添付するか、比較表を作成する必要があります。
登録か審査登記
最終ステップとして、製品のクラスに応じた適切な申請ルートを選択し、必要な書類を整えます。ごく一部のクラスI医療機器に限り、簡易な「登録」が適用されますが、それ以外の医療機器については基本的に「審査登記」の手続きが求められます。
台湾市場への円滑な参入を実現するためには、これらの手順を一つずつ確実に進めることが重要です。日本では医療機器に該当しない製品が台湾で該当する可能性もあるため、制度に不慣れな場合には、現地の専門家の助言を受けながら進めることをお勧めいたします。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。