第628回 暗号資産サービスの詐欺犯罪防止に関する規則改正
先月20日、「金融機構及び暗号資産サービス事業者又は従事者による詐欺犯罪被害防止のための遵守事項に関する弁法」(中国語:金融機構及提供虛擬資產服務之事業或人員防制詐欺犯罪危害應遵循事項辦法)が改正されました。
修正条文52条、新設条文3条に及ぶ今回の大規模改正は、「詐欺犯罪危害防止条例」(中国語:詐欺犯罪危害防制條例)が今年1月に改正されたことを受けて行われたものです。
改正の特徴として、①銀行だけでなく、電子決済機関、クレジットカード会社および暗号資産サービス事業者を横断する情報連携制度が法令上整備された点、そして②暗号資産を含む、被害財産の返還制度が具体化された点が挙げられます。従来の金融機関ごとの対応から、業種・機関横断で詐欺被害の防止および被害回復を図る制度へと発展した点は、高く評価できるものといえます。本稿では、読者の皆様への影響が大きい主な改正点をご紹介します。
不審な取引を早期発見
まず、これまで、警示暗号資産アカウント(中国語:警示虛擬資產帳號)内に被害者の暗号資産または資金が残存する場合には、司法警察機関の書面通知に基づき、暗号資産サービス事業者が、これを被害者へ返還できるものとされていましたが、今回の改正では新たに、暗号資産サービス事業者が、警示暗号資産アカウント内の残余暗号資産を換価した上で返還できる旨の規定が設けられました(改正第64条第2項)。
このほかにも、詐欺犯罪への関与が疑われる異常な預金口座(中国語:異常存款帳戶)、電子決済口座、クレジットカード、暗号資産アカウントおよび取引の認定基準に関する対象範囲が拡大されたことにより、不審な口座・アカウントおよび取引が早期に検知されるようになりました(改正第3条、第6条、第9条及び第12条)。
近年、日本台湾交流協会のメーリングリストや各種報道を通じて、詐欺に関する報道に接する機会が増えています。詐欺被害は誰にでも起こり得るものと捉え、日頃から警戒心を持っておきたいものです。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
高校時代に参加した弁護士の講演がきっかけとなり、国際的に活躍できる法曹を志す。
高校卒業後、台湾の大学に進学し中国語の習得並びに国際感覚の涵養に励む。
在学中は積極的に日台比較法研究会への参加、現地の法律事務所でのインターン等を通して自身の法律知識を深めた。
台湾法のみならず、様々な法分野においてクライアントに寄り沿うことができる弁護士を目指し、日々研鑽を積んでいる。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。
