「労働者休暇規則」の改正概要について

台湾労働部(日本の厚生労働省に相当します)は、2026年9月17日、「労働者休暇規則」(中国語:勞工請假規則)第2条および第12条の改正案を予告し、労働者の婚姻休暇(中国語:婚假)を現行の8日から14日に延長する方針を公表しました。今回の改正は、台湾政府が進める「台湾人口対策新戦略―家庭支援編」の一環として、結婚・妊娠・出産・育児の各段階における支援を強化するものです。本稿執筆時点において、改正規則は、意見募集等の手続を経た上で、同年10月1日に施行される予定です。

1.改正概要

現行の「労働者休暇規則」第2条では、労働者が結婚した場合、8日の婚姻休暇を取得でき、その期間について、使用者は賃金を通常どおり支給しなければならないとされています。他方、軍人・公務員・教職員については、既に14日の婚姻休暇が認められており、労働者との間で日数に差が生じています。このため今回の改正案では、このような差を踏まえ、労働者の婚姻休暇についても、現行の8日から14日に延長することが予定されています。

2.経過措置

改正前後の取扱いについて経過措置が設けられる点にも注意が必要です。労働部の説明によると、新制度の施行前に既に婚姻届を提出した労働者についても、①婚姻届提出日の10日前から3か月以内(使用者の同意がある場合には1年以内)という婚姻休暇を取得できる期間内にあり、かつ、②従来の8日の婚姻休暇をすべて取得していない場合には新制度が適用され、婚姻休暇が14日に延長される見込みです。

3.補助金制度の新設

もっとも、婚姻休暇の延長が、使用者にとって賃金負担の増加につながることを受け、今回の改正案では、新たに追加される第9日目から第14日目までの6日分について、使用者が労働者に賃金を支給した後、労働部に対して賃金補助を申請できる制度の新設が予定されています。具体的な補助要件や申請方法については、改正規則の公布時に併せて公表される見込みです。

台湾で従業員を雇用する日系企業においては、改正規則の正式な公布内容を確認した上で、就業規則や休暇規程等における婚姻休暇の日数を見直す必要があります。また、施行日前に婚姻届を提出した従業員についても新制度が適用される可能性があるため、経過措置の対象となる従業員の有無を確認するとともに、適切に対応する必要があります。

 


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修 弁護士 秋口麻貴