第636回 医療法が大幅改正へ、広告・患者への影響は?

2026年8月25日、「医療法」(中国語:醫療法、以下「法」といいます)の一部改正案が、立法院(日本の国会に相当します)での最終的な審議を経て可決(中国語:三読通過)され、9月23日に総統公布・施行されました。今回の改正の注目ポイントについてご紹介します。

安全確保の対象拡大

まず、医療現場の安全確保に関しては、保護対象が従来の「医療従事者」から「医療機関の所属職員」に拡大されました(法第24条第3項)。

また、暴行、脅迫、威嚇その他の違法な方法によって医療、医事または救護業務を妨害した場合の法定刑が、従来の3年以下の懲役から、6月以上5年以下の懲役へと引き上げられました(法第106条第4項)。

患者のプライバシー保護

また、患者のプライバシー保護についても、新たな刑事罰が設けられました。

具体的には、医療機関またはその職員が、正当な理由なく、機器等を利用して患者の非公開の医療・疾病情報や身体のプライバシーに関わる部位を覗き見・盗聴したり、録音、撮影または録画等を行ったりした場合、3年以下の懲役に処され、30万台湾元以下の罰金が併科される可能性があります(法第72条、第107条)。

加えて、医療広告については、原則として医療機関または医師以外の者が医療広告を行うことを禁止する規制が明確化されたほか、医師が行うことのできる広告の範囲についても規定されました(法第84条)。

さらに、医療社団法人についても制度の見直しが行われ、医療社団法人が剰余金を分配する場合には、10%以上を研究開発、人材育成、健康教育、医療救済、地域医療サービスその他の社会サービス事業のための基金として積み立てなければならない等、一定の利益を従業員の福利厚生、患者の権益、医療品質および医療環境の向上等に充てる仕組みが導入されています(法第53条)。

今回の改正は、医療従事者の安全確保のみならず、患者のプライバシー保護や医療広告、医療社団法人の運営等にも及ぶ広範なものとなっています。医療機関や医療関連事業に関与する企業においては、関連する規定や実務上の運用への影響についても確認しておく必要があります。

 


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 秋口麻貴

高校時代に参加した弁護士の講演がきっかけとなり、国際的に活躍できる法曹を志す。
高校卒業後、台湾の大学に進学し中国語の習得並びに国際感覚の涵養に励む。
在学中は積極的に日台比較法研究会への参加、現地の法律事務所でのインターン等を通して自身の法律知識を深めた。
台湾法のみならず、様々な法分野においてクライアントに寄り沿うことができる弁護士を目指し、日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。