「労働者健康保護規則」の改正に伴う要対応事項について
台湾労働部(日本の厚生労働省に相当します)は、2026年6月、「労働者健康保護規則」(中国語:勞工健康保護規則、以下、「本規則」といいます)の改正を公布しました。今回の改正では、一般健康診断の実施頻度の見直しや、長期夜間勤務者に対する健康診断制度の新設等、企業の労務管理に影響する内容が含まれています。以下、今回の主な改正内容をご紹介します。
1.一般健康診断の実施頻度の変更
台湾では、使用者(雇用主)は、在職中の労働者に対して、年齢に応じた頻度で一般健康診断を実施することが義務付けられています。従前の本規則第17条では、一般健康診断の実施頻度について、65歳以上の労働者は1年に1回、40歳以上65歳未満の労働者は3年に1回、40歳未満の労働者は5年に1回とされていました。
これに対して今回の改正により、一般健康診断の実施頻度について、60歳以上の労働者は1年に1回、40歳以上60歳未満の労働者は2年に1回、40歳未満の労働者は3年に1回となりました。
また、一般健康診断の検査項目についても見直しが行われています。
2.「長期夜間勤務」の定義の新設
今回の改正では、新たに「長期夜間勤務」(中国語:長期夜間工作)という概念が設けられました。改正本規則第2条第4号は、労働者が前年度に、午後10時から翌朝6時までの間に3時間以上勤務した日がその月の勤務日の2分の1に達し、かつ、その状態が累計6か月以上に達する場合、または、午後10時から翌朝6時までの勤務時間が累計700時間以上に達する場合には、「長期夜間勤務」に該当するとしています。
単に「夜勤」という名称の勤務を行っているか否かではなく、実際の夜間勤務時間や日数に基づいて対象者が判断される点に注意を要します。
3.長期夜間勤務者に対する健康診断の新設
改正本規則第18条では、使用者(雇用主)が労働者を長期夜間勤務に従事させている場合、当該労働者について、その年度中に所定の「長期夜間勤務健康診断」を実施することが新たに義務付けられました。
このため、交替制勤務や深夜勤務を採用している企業においては、健康診断制度そのものを確認するだけではなく、従業員ごとの夜間勤務時間および日数を把握し、「長期夜間勤務」に該当する従業員を適切に抽出できる管理体制を整備することが重要となります。
今回の改正では、上記のほかにも、労働者の健康保護に関する複数の制度改正が行われています。今回の改正は、原則として2026年7月1日から施行されていますが、一部の規定は2027年7月1日または2028年1月1日から施行されます。
健康診断に関する主要な改正規定は2028年1月1日から施行されるため、台湾で従業員を雇用する企業においては、それまでに、従業員の年齢別の健康診断実施時期、夜間勤務時間・日数の管理方法、長期夜間勤務者の該当状況、特殊健康診断の対象となる作業の有無等を確認し、必要に応じて社内の健康管理体制を見直すことが望まれます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。
【執筆担当弁護士】
