第12回 離婚について

みなさん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

早いもので、今年ももうすぐ終わりですね〜。今年は、台湾でも日本でも「食」に関する信頼が揺らいでしまう事件があったり、暗いニュースも多かったですが、東京五輪が決まったのは、今年の中でも、かなり明るい、嬉しいニュースだったと思います。楽しみなイベントが待ってるってのは、なかなかよいもんですね〜。

話は大きく変わりますが、今日は「離婚」について書いてみます。台湾は、実は結構な離婚大国なんですね。アジアナンバーワンという話もあるくらいです。

まず、台湾でどの程度のカップルが毎年、離婚しているかを調べたところ、少し古いデータですが、6万組前後のカップルが離婚していました。多い年は6万5000組近くまで増え、少ない年は5万5000組程度まで減るのですが、おおよそ6万組前後という数でしたね。

これに対して、結婚するカップルは14万組程度ですので、比率でいえば離婚1に対して結婚2.33ほどになります。
多いかどうかわかりにくいので、日本と比較してみますね。日本では、最近、離婚が増えている印象でしたが、ピークは2002年で、29万組近くが離婚していました。

最近は減少傾向で2011年は23万組台まで減っていました(厚生労働省のホームページ参照)。結婚するカップルは66万組程度ですので、2011年の比率でいえば離婚1に対して結婚2.87ほどになります。

この比較から台湾は日本より離婚率が高いということがいえそうです(統計の専門家ではないので、はっきりしたことはいえませんが)。ちなみに、台湾の離婚原因の7割以上が不倫とのことです。

離婚に関していえば当事者で協議を通じて離婚する以外に、日本でも台湾でも裁判を通じて離婚することが認められています。つまり、夫か妻が裁判所に離婚を請求して、裁判所が認めることで、相手方が離婚を望んでいなくとも離婚を成立させるというパターン(「裁判離婚」といいます)が存在します。
もっとも、日本と台湾において、この裁判離婚については大きな違いがあるんです。

日本では、民法に「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に夫婦の一方が離婚の訴えを提起できるとされています。そして、婚姻関係の破綻を招いた原因のある夫又は妻(「有責配偶者」といいます)からの離婚の訴えを認めることができるかについて、最高裁の判例で以前は、「婚姻関係の破綻を招くについて、専ら又は主として責任のある当事者は、これをもって婚姻を継続し難い事由として離婚を請求できない。」としていました。しかし、昭和62年の最高裁の判例で一定の要件のもと、有責配偶者からの離婚請求を認める判例変更を行っています。

これに対して、台湾では、民法上、有責配偶者が離婚請求をすることができないことが明記されています。よって、婚姻関係が破綻していたとしても、責任のない配偶者から訴えを起こさない限り、裁判離婚は成立しません。実際に破綻した婚姻関係を存続させることに意味があるのか微妙なところですが、責任のない配偶者が有利な離婚条件を有責配偶者から引きだすために役に立つこともあるようです。

離婚は、当事者がお互い非常に疲弊するという話を耳にしますので、夫婦円満が一番ですよね〜。もちろん、新たな幸せを求める方がお互いよい場合もありますので、なんともいえないですけどね。

本コラムは、今年はこれで最後になりました。皆さまにおかれましても、いろいろなことがあった1年だと思いますが、もうすぐ一区切りですね。新しい年もよろしくお願いいたします。それでは、よいお年を〜!!


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。