台湾法上の「通信販売」

「通信販売」は、台湾法上では「通信取引」と言われており、関連する規定は以下の通りである。

消費者保護法第2条第1項第10号には、「通信取引とは、企業経営者がラジオ、テレビ、電話、ファックス、カタログ、新聞、雑誌、インターネット、宣伝ビラ又はその他の類似する方法により、消費者をして商品又はサービスを目視で検査できない状況において企業経営者と締結させる契約をいう。」と規定されている。
同法第19条には更に「(第1項)通信取引又は訪問取引の消費者は、商品を受領し又はサービスを受けた後7日以内に、理由を説明することなく、かつ如何なる費用又は対価を負担することなく、商品の返品又は書面通知の方式により契約を解除することができる。ただし、通信取引に合理的な例外事情がある場合は、この限りではない。(第2項)前項の但書きの合理的な例外事情については、行政院がこれを定める。」と規定されている。

消費者保護法第19条第2項の「合理的な例外事情」については、行政院が公布する通信取引解除権の合理的な例外事情の適用準則第2条に「消費者保護法第19条第1項の但書きに示される合理的な例外事情とは、通信取引の商品又はサービスについて以下のいずれかの事由があり、かつ企業経営者から消費者へ告知された場合に、消費者保護法第19条第1項の解除権の適用から除外されるものを指す。1、腐敗しやすく、保存期間が比較的短く又は契約解除時からほどなく期限が過ぎるもの。2、消費者の要求により行われたカスタマイズに類する商品又はサービス。3、新聞、定期刊行物又は雑誌。4、消費者によって開封された動画・音声商品又はコンピューターソフトウェア。5、有形媒体によらずに提供されたデジタルコンテンツ又は提供と同時に完了するオンラインサービスであり、消費者の事前の同意により初めて提供されたもの。6、開封済の個人衛生用品。7、国際航空旅客運輸サービス。」と規定されている。
言い換えると、上記の7種類の状況における通信販売については、消費者は商品を受領し又はサービスを受けてから7日内であっても任意に契約を解除することができない。

通信販売の返品問題は、実務上よく生じる消費紛争である。紛争の発生を避けるため、通信販売業者は上記の規定をしっかりと把握する必要がある。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修