知的財産権侵害に関する警告書

事業者が自己の著作権、商標権等の知的財産権が侵害されていることを理由として、警告書を侵害者以外の第三者に送付できるかについて、「著作権、商標権又は特許権の侵害に関する事業者の警告書送付事案についての公平取引委員会の処理原則(以下「本処理原則」という)」には、以下の規定がある。

1.第二条:(警告書の送付)
本処理原則にいう事業者の警告書送付行為とは、事業者が次の方法により、自らの又は他の事業者の取引先又は潜在的な取引先に対し、その所有する著作権、商標権又は特許権を他の事業者が侵害していることを知らしめる行為を指す。(一)警告書(二)通知書(三)弁護士書簡(四)公開書簡(五)広告での公示(六)その他、自らの又は他の事業者の取引先又は潜在的な取引先をして知らしめるに足りる書面

2.第三条第一項:(先行手続1)
権利が侵害されていることを確認するための次の手続の一を事業者が履行した上で警告書を送付した場合にはじめて、著作権法、商標法又は特許法に基づく権利行使のための正当行為とする。(一)裁判所の一審判決により、確かに著作権、商標権又は特許権が侵害されているとされた場合(二)著作権審議及び調停委員会の調停により、確かに著作権が侵害されていると認定された場合(三)特許権侵害の可能性のある目的物を専門機関に送付して鑑定を依頼し、鑑定報告書を取得し、かつ侵害の可能性のある製造業者、輸入業者又は代理店に対し、警告書の送付前又は送付と同時に、侵害排除を請求する通知を行っている場合

3.第四条第一項:(先行手続2)
権利が侵害されていることを確認するための次の各号の手続を事業者が履行した上で警告書を送付した場合にはじめて、著作権法、商標法又は特許法に基づく権利行使のための正当行為とする。(一)侵害の可能性のある製造業者、輸入業者又は代理店に対し、警告書の送付前又は送付と同時に、侵害排除を請求する通知を行っている場合。(二)警告書において、著作権、商標権又は特許権の明確な内容、範囲、及び侵害されているとの具体的な事実(例えば、係争権利につき、いつ、どこで、どのように製造、使用、販売又は輸入が行われたか等)を明確に述べることにより、受信者をして係争権利が侵害されている恐れがあるとの事実を知らしめるに足りる場合。

4.第五条第一項:(上記2又は3の違反の効果)
事業者が第三条又は第四条に定める先行手続を履行せずに警告書を送付し、かつ取引秩序に影響を及ぼすに足りる欺罔又は明らかに公正さに欠ける行為をなした場合、公平取引法第25条の違反を構成する。

なお、上記2.及び3.はそれぞれ、各号の一を満たす必要がある。

事業者は、自己の著作権、商標権等の知的財産権が侵害されている場合、自社の取引先などの第三者に対して、自社の被害事実及び加害者の社名などを知らせるレターを出す行為はよく見受けられる。しかし、本処理原則の第三条又は第四条の先行手続を履行せずにレターを送付すると、台湾法に違反する可能性が高いため、注意が必要である。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修