インターネットショッピングで購入した商品は無条件で返品できるのか?

携帯電話やパソコンを使用し、オンラインショッピングをすることは、すでに現代人の主な消費習慣の一つとなっています。

インターネットショッピングでは実物を見ることや体験することができないため、消費者が良く考えずに非理性的な消費を行うリスクを軽減できるよう、台湾の消費者保護法(「本法」といいます)第19条第1項は「通信取引または訪問取引における消費者は、商品を受け取ってからまたはサービスを受けてから7日以内に、商品を返却することまたは書面で通知することにより、契約を解除することができ、理由を説明することおよび何らかの費用または対価を負担することを要しない」と規定し、インターネット等を使用して買い物をする消費者に、商品受取後7日以内に無条件で返品する権利を与えています。台湾では俗に「7日間の鑑賞期間」といいます。

もっとも、本法第19条第1項ただし書は「合理的な例外事由がある場合、インターネットショッピングで購入した商品を無条件で返品することはできない」と規定しています。

この「合理的な例外事由」について、通信取引解除権の合理的な例外事由の適用準則第2条によりますと、下記の事由のいずれかに該当し、かつ企業・事業者から消費者に告知がなされている場合、本法第19条第1項の解除権の適用は除外するとされています。

一、腐敗しやすいもの、保存期限が短いものまたは解約の時点でまもなく保存期限が過ぎるもの。例えば生乳、肉類など。このような製品は保存期限が概ね7日より短く、返品された後ではすでに他の者に再販売するのが不適切なものとなっています。

二、消費者の要求に基づいて行うカスタマイズ給付。例えば消費者の指定に基づく姓名印の作成、名刺の作成など。このような製品は返品された後、メーカーが他の者に販売することはできません。

三、新聞、定期刊行物または雑誌。このような商品は高度の時効性を有し、期間が経過した後、商品の価値はほぼなくなっています。

四、消費者により開封された映像音声商品またはパソコンソフトウェア。例えば映画のブルーレイやDVDなど。このような製品は開封された後、すぐに閲覧または複製が可能な状態となり、無条件の返品を認めれば、間違いなく投機行為を奨励することになります。

五、有形の媒体により提供するものではないデジタルコンテンツまたはひとたび提供すれば完了するオンラインサービスで、消費者から事前の同意を得てはじめて提供するもの。例えばGoogle Playで料金を支払ってダウンロードした携帯電話のアプリなど。上記四と同様に、このような商品について返品を認めれば、かえって売主に対する不公平を生むことになります。

六、開封済みの個人衛生用品。例えばカミソリ、トイレットペーパーなど。このような製品は通常、衛生に配慮して密封されており、開封された後に再販売する場合、衛生上の問題が生じます。

七、国際航空旅客運送サービス。例えば航空券など。このような商品は国際的な慣行によれば、チケットの払戻時に払戻費用が発生するため、無条件で返品することはできません。

なお、インターネットサイトで販売している商品が上記の七つの例外のいずれかに該当する場合には、販売サイトにおいて「本商品には消費者保護法第19条第1項の7日間の鑑賞期間の規定は適用されません」という旨を明記する必要があります。明記しない場合、消費者の返品権を排除することができなくなるため、注意が必要です。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修