虹彩データの取得・利用に関する個人情報保護法上の留意点
個人情報保護委員会設立準備処(中国語:個人資料保護委員會籌備處、以下、「準備処」といいます)が今年初旬、虹彩(*眼球の色がついている部分)が、「指紋と同様に高度な個人識別機能を有する」として、虹彩にも個人情報保護法(以下、「本法」といいます)上の規制が適用される旨、判断しました。
準備処によると、①本法第2条第1号が「個人情報」の例として列挙する「指紋」は、個人の身体に関する生体的特徴であり、人ごとに異なり、かつ終生不変であるという性質を有するため、いったん個人の身分と結び付けられれば、高度な個人識別機能を有する個人情報に該当するものであること、②虹彩もまた、指紋と同様に生体特徴データの一種として、高度な個人識別機能を有することから、本法における一般個人情報の収集、処理および利用に関する規制の適用を受けるとしています。
この点、本法第19条第1項は、以下のとおり規定しています。
非公務機関が個人情報を収集または処理する場合には、第6条第1項に定める情報を除き、特定の目的を有し、かつ、次の各号のいずれかに該当しなければならない。
一. 法律に明文の規定がある場合。
二. 本人との間に契約またはこれに類する関係があり、かつ適切な安全措置が講じられている場合。
三. 本人が自ら公開した個人情報、またはその他すでに適法に公開されている個人情報である場合。
四. 学術研究機関が公共の利益に基づき統計または学術研究のために必要とする場合であって、提供者による処理後、または収集者がその開示方法に基づき、特定の本人を識別することができない場合。
五. 本人の同意を得ている場合。
六. 公共の利益の増進のために必要な場合。
七. 一般に入手可能な情報源から取得した個人情報である場合。ただし、当該情報の処理または利用を禁止することについて、本人により優越的に保護すべき重大な利益があると明らかに認められる場合は、この限りでない。
八. 本人の権利利益を侵害しない場合。
なお、本法第19条第1項第5号にいう「同意」とは、当事者が、本法に基づき通知すべき事項について、収集者から告知を受けた後に行う許容の意思表示を指し、収集者が、当該同意が適法要件を満たすことについての立証責任を負います。
したがって、一般企業(非公務機関)が当事者の同意を得て一般個人情報を収集しようとする場合、書面形式による必要はないものの、本法第8条第1項に基づき、①企業の名称、②収集目的、③利用対象等の、「法定告知事項」を明確に告知したうえで、当事者から明確な同意を取得する必要があり、これにより初めて適法かつ有効な同意となります。
告知方法については、口頭、書面、電話、SMS、電子メール、ファクシミリ、電子文書その他当事者が認識し、または認識し得る方法により行うことが可能です(本法施行細則第16条参照)。ただし、「明確な告知」という目的を達成するためには、収集者は、当事者に対して個別に通知する方法によるべきであり、単なる掲示やウェブ上での公告といった包括的な方法のみで足らない点に注意を要します。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。
【執筆担当弁護士】
