日本・台湾間の特許審査のスピードアップ

日本の交流協会と台湾の亜東関係協会は、2012年4月11日に「日台特許審査ハイウェイ(The Patent Prosecution Highway。略称:PPH)協定」を締結した。同年5月1日から「PPH」計画が試行されるが、これにより、日本及び台湾の特許主管機関間の審査システムにおける平均審査期間が従来の2.5ヶ月から1.1ヶ月となり、大幅にスピードアップされると期待されている。

台湾の知的財産局によれば、「PPH」計画の実施後、特許出願者が最初に日本において発明特許を出願し、これに基づき優先権を主張して台湾当局に発明特許を出願する場合において、日本の特許庁(JPO)から、一項以上の請求について特許査定を受けたときには、出願者は台湾の知的財産局に早期審査を請求することができることになる。

また、最初に台湾において発明特許を出願し、かつJPOに特許を出願して台湾の優先権を主張する場合において、台湾の知的財産局から、一項以上の請求について特許査定を受けたときも、これに基づきJPOに対し早期審査を請求することができることになる。

現行の「発明特許早期審査プログラム(Accelerated Examination Program。略称:AEP)」では、出願者は、日本の特許庁から特許査定を受けた後又は日本の特許庁が発行する審査意見通知書及び検索報告を取得した後に、台湾において早期審査を請求することになっていたが、この場合、審査の完了にはなお約2.5ヶ月かかっていた。しかし、PPHの実施後は1.1ヶ月あれば審査が完了するとされている。

日本は台湾とPPHを締結した2番目の国である(1番目はアメリカ)。日本と台湾は経済的に関係が緊密であり、台湾当局の統計によれば、台湾において特許を出願する外国人のうち日本人がもっとも多く、2011年の特許出願件数は1万3366件に達しており、また、毎年、日本において出願される台湾の特許件数も中国、アメリカに次ぎ、3000件を超えている。現在、日本及び台湾における特許出願は電子、重工業、化学及び医薬品類が多く、新制度の実施後、日本・台湾間の知的財産権の交流がさらに促進され、関連産業に多くのビジネスチャンスをもたらすと期待されている。


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【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修