海外での台湾の電子証票の利用可能性

行政院金融監督管理委員会(以下、「金管会」という)は、2014年8月中旬に、「国際的に通用する電子証票又は国外機構と提携して電子証票を発行することについての審査基準及び管理規則」(以下、「本規則」という)を改正した。これにより、国内の電子証票業者と国外の業者との提携条件が緩和され、将来、外国で台湾の電子証票を直接利用することが可能になるものと思われる。

電子証票発行管理条例第3条の規定によれば、「電子証票」とは、電子、磁気又は光学の形式により金銭的価値を保存し、かつデータの保存又は計算機能を含むチップ・カード・証憑又はその他の形式の媒体で、多目的の支払に利用されるツールをいう。

簡単にいうと、金銭的価値保存機能を有する電子カードであり、かつ現金による支払と同等の機能を有するものを指す。現在、金管会が許可・発行する台湾の電子証票は台湾在住の外国人にも非常によく知られており、台北の地下鉄に乗る際に使用できる「悠遊カード」や、統一グループの「icash」などがある。

本規則第3条の従来の規定では、国内の電子証票業者が国外の業者と提携する際、当該外国の業者は「国際」電子証票を1年以上発行しているという経験を有していなければならなかった。そうなると、例えば香港の「オクトパス(八達通)カード」又はシンガポールの「イージーリンク(EZ-Link)」は発行されてから何年も経っているが、現地国でしか利用することができないことから、「国際」電子証票ではないため、本条の要件を満たしていなかった。

しかし、今回の改正で、金管会が当該規定を削除したため、台湾の電子証票業者が外国の業者と提携することが容易になる。
メディアの報道によれば、悠遊カードの発行会社は先手を打って香港の「オクトパス(八達通)カード」及びシンガポールの「イージーリンク(EZ-Link)」と提携する見込みであり、将来的に台湾の悠遊カードは香港、シンガポールで利用することができるようになるとされている。

なお、外国の電子証票を台湾で利用することについてはまだ開放されていない。


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【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修