第268回 化粧品広告の適法性の認定基準について

化粧品広告の適法性の認定基準について、今年(2019年)1月19日、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)が「化粧品の表示・宣伝・広告における虚偽的、誇張的な言及または医薬品的な効能への言及の認定準則」草案(以下「本草案」)を公布しました。重要な内容は以下のとおりです。

第3条:本法(化粧品衛生安全管理法)第10条第1項の化粧品の表示、宣伝または広告について、その記載内容が次の事由のいずれかに該当する場合、虚偽的または誇張的な言及があるものと認定する。1)事実と合致していない 2)証拠がない、また証拠が不十分である 3)本法第3条の化粧品の定義、種類および範囲を逸脱している 4)付属書類一に記載される、生理機能に影響を及ぼすこと、または身体構造を変えることに言及した用語がある

第4条:化粧品の表示、宣伝または広告の内容に、その種類および品目の範囲または成分に応じて、付属書類二に例示して記載される、通常使用することのできる用語を使用する場合、または付属書類三に例示して記載され、成分の生理機能に関する用語を使用する場合、虚偽的または誇張的な言及があるものと認定しない。

第5条:本法第10条第2項の化粧品の表示、宣伝または広告について、その記載内容が次の事由のいずれかに該当する場合、医薬品的な効能への言及があるものと認定する。1)疾病、疾病症候群または症状を予防、軽減、診断または治療すること、または付属書類四に記載されるようなその他の医薬品的な効能に言及した用語がある 2)薬品または医療機器の効能または同等の意義に言及した用語がある

5月施行、過料最大500万元

上記第3条の「付属書類一」には、「痩せる、体重を減らす」など、34種類の使用禁止用語が規定されています。上記第4条の「付属書類二」には、「余分な油脂を除去する、皮脂を抑える」など、数百個の使用可能用語が規定されています。上記第4条の「付属書類三」には、フッ化物を含む練り歯みがき粉について「虫歯予防を助ける」と標榜(ひょうぼう)できるなど、特定の成分を含む商品について使用することのできる特定の用語が規定されています。上記第5条の「付属書類四」には、「除毛、脱毛」など、医薬品的効能に言及した用語が規定されています。

本草案は今年5月に施行される予定です。違反した業者は、情状の重さに応じて数万~500万台湾元(1台湾元=約3.55円)の過料に処せられます。

弊所ではよく日本の化粧品および食品業者のために広告内容の事前チェックを行っており、また、業者を代理して、衛生局などの主管機関に対する広告の適法性に関する説明も行っております。ご質問がありましたら、弊所までご連絡ください。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。