第302回 中国資本が出資する日本企業による台湾投資

台湾では、中国による経済的なコントロールを回避するため、中国企業による投資が規制されています。「台湾地区と大陸地区の人民関係条例(両岸人民関係条例)」第73条によると、中国法人が第三地において投資する会社は、主管機関の許可を取得しなければ、台湾において投資行為に従事することができません。つまり、日本企業が中国企業による出資を受けている場合、主管機関の許可を得て初めて、台湾での投資が可能となります。

中国からの投資規制

「大陸地区人民による台湾投資の許可弁法」第3条によると、「中国法人が第三地において投資する会社」の定義は下記の通りです。

1.中国法人が当該企業の株式総額の30%以上を直接もしくは間接的に保有する場合
2.中国法人が当該企業をコントロールできる場合

上記「2」について、経済部の解釈令に よれば、下記いずれかの要件をもって判断 されます。

①過半数の議決権付き株式をコントロールできると他の投資者と約定した場合
②法令または契約の約定に基づき、会社の財務、運営および人事方針をコントロールできる場合
③董事会の過半数の主要構成員を任免する権限を有し、かつ会社の支配コントロールが当該董事会にある場合
④董事会の過半数の議決権を主導する権限を有し、かつ会社の支配コントロールが当該董事会にある場合
⑤支配能力を有するその他事由がある場合

上記条件に該当する可能性が高いとみられる場合、主管機関は一般的な日本企業が台湾に投資する際より厳しい基準で審査します。そのため、審査期間が延びる可能性があり、審査のみで60営業日以上かかる可能性もあります。

投資を許可されない理由

なお、審査において、中国の政策の影響を受け国家安全を害する恐れがあると判断される場合には、外国人投資条例第7条1項1号「以下の事業については、投資者の投資を禁止する。1.国家の安全、公共秩序、善良な風俗または国民の健康に対して不利な影響を及ぼす事業」に基づき、その外資の投資は許可されない可能性があります。中国の政策の影響を受けるか否かは、その時の世界情勢、政権により判断が変わると考えられます。中国企業による出資を受けている日本企業で台湾への投資をお考えの場合は、現地の弁護士に事前に相談することをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。