第337回 抱き合わせ販売

「抱き合わせ販売」について、台湾法上、以下の規定があります。

(1)公正取引法第20条第5号
以下の各号の行為の一に該当して、競争を制限する恐れがある場合、事業者はこれを行ってはならない。

 5.取引相手の事業活動を不当に制限することを条件として当該取引相手と取引をする行為。

(2)公正取引法施行細則第28条
 (第1項)本法第20条第5号においていう制限とは、抱き合わせ販売、独占取引、地域、顧客または使用の制限およびその他事業活動を制限する場合を指す。

 (第2項)前項の制限が不当であり競争を制限する恐れを有するか否かは、当事者の意図、目的、所属する市場での地位、市場の構造、商品または役務の特性および履行状況の市場競争に対する影響などを総合して判断しなければならない。

上記(1)(2)の規定によれば、台湾法における「抱き合わせ販売」は事業者による取引の相手方に対する一種の制限行為に該当しますが、必ずしも全ての「抱き合わせ販売」が不適法な行為ではなく、「不当であり競争を制限する恐れがある場合」に初めて違法行為となります。「不当であり競争を制限する恐れがある」かどうかは当事者の意図、目的、所属する市場での地位、市場の構造、商品または役務の特性および履行状況の市場競争に対する影響などに基づいて判断しなければなりません。

抱き合わせ販売の違法な事例

違法な抱き合わせ販売と当局に認定された事例として下記の例があります。

  1. カラオケカセットテープの発行会社がカラオケ業者に対し、人気歌手、周杰倫(ジェイ・チョウ)のカラオケカセットテープの購入に際して、仏教の経典などの売れ行きの悪い歌のカラオケカセットテープを同時購入するよう求めました。当該抱き合わせ販売行為は公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)により違法と判定され、220万台湾元(約800万円)の過料に処せられました。

  2. 中華電信が消費者に対し、ADSL(非対称デジタル加入者線)サービスの購入に際して、市内電話サービスも併せて購入するよう求めました。当該抱き合わせ販売行為は国家通訊伝播委員会(NCC)により違法と判定され、30万元の過料に処せられました。

抱き合わせ販売の形で、台湾で商品の販売を行う際には、ぜひ、上記規定に留意し、法律専門家に相談することをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。