第368回 店頭で作る飲料の栄養成分表示の新規定

 ドリンクスタンドやタピオカミルクティーの文化は台湾発祥と言うことができ、ドリンクスタンドを規制する数多くの法令も次々に制定、実施されています。衛生福利部(衛福部)食品医薬品管理署(食薬署)は「フランチャイズのドリンクスタンド業、コンビニエンスストアおよびファーストフード業における、注文を受けて店頭で作る飲料の表示に関する規定」を改正し、ドリンクスタンドの店頭で作る飲料の栄養成分表示に対する規制を強化し、2021年1月1日から実施しています。

トッピングのカロリーも計算

 これまでドリンクスタンドに求められていたのは飲料のカロリー表示のみでしたが、今年の新しい制度の開始により、飲料のトッピング(タピオカ、コーヒーゼリー、プリンなど)も全て総カロリー、総糖質量の計算に入れなければならず、店頭で作る飲料などには全て表示しなければなりません。

 総カロリー、総糖質量は実際の値または最高値のいずれかを選択して表示することができ、実際の値を表示する場合、誤差の範囲は120%を超過してはなりません。

各種飲料の表示詳しく

1.カフェインが含まれる店頭で作る飲料について、赤、黄、緑でカフェインの範囲を区分表示するか、総カフェイン含有量の最高値を表示しなければなりません。

 赤、黄、緑で区分表示する場合、それぞれの色は特定の区間のカフェイン含有量を示します。赤はカフェイン含有量が1杯当たり201ミリグラム以上、黄はカフェイン含有量が101~200ミリグラム、緑はカフェイン含有量が100ミリグラム以下であることを示します。

 最高値で表示する場合、その数値はコーヒーの品種、季節、抽出方式など数値に影響する要素を考慮しなければなりません。

2.果汁・野菜汁を使った店頭で作る飲料については、果汁・野菜汁を品名とする場合、その果汁・野菜汁の含有量は10%以上でなければならず、果汁・野菜汁の含有量が0.1~9.9%である場合、「○○飲料」と表示しなければなりません。果汁・野菜汁を含まない場合、「○○風味飲料」と表示しなければなりません。

3.お茶やコーヒー飲料については、コーヒーや茶葉の原産地を表示しなければなりません。コーヒー豆を台湾で焙煎する場合も、当該コーヒー豆の原産地を表示しなければならず、台湾と表示することはできません。

 もし上記の規定に基づき表示しなかった場合、食品安全衛生管理法第25条第2項違反となり、3万台湾元(約11万円)以上300万元以下の過料に処されるリスクがあります。不実の表示を行った場合、同法第28条第1項違反となり、4万元以上400万元以下の過料に処されるリスクがあります。

 ただし、本規定の規制対象はフランのチャイズドリンク業、コンビニエンスストアおよびファーストフード業であって、食事の提供を主とするレストラン、朝食店およびフランチャイズレストランなどは現時点において上記規定の規制対象ではありません。

 読者は、今後、店頭で作る飲料に新しい表示があるかについて留意しましょう。台湾で飲食業を経営する企業は、上記規制が適用されるかについて留意すべきです。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。