第480回 入出国及び移民法の改正

2023年6月28日、大幅な改正があった「入出国及移民法」(日本語:入出国及び移民法)が公布されました。今回の主な改正点は以下のとおりです。

主な改正点

1.居留証申請期限の緩和(第22条)
 改正前は、外国人は、入国後15日以内に居留証を申請しなければならないとされていました。
しかし、来台外国人に住居を探す時間を十分に確保し、また、台湾の環境に慣れるのに利するため、当該期限を入国後30日以内に延長しました。

2.外国人配偶者の離婚後の居留要件の緩和(第31条)
 改正前は、判決離婚かつ未成年者子女の監護権を取得した外国人のみ、離婚後も継続して台湾に居留することが認められていました。

しかし、外国人配偶者の台湾での家庭団らんの権利を保障するため、改正後は、家庭内暴力により離婚した場合、外国人配偶者は、未成年子女の有無にかかわらず、継続して台湾に居留することができます。また、家庭団らんの権利及び子供の最善の利益の観点から、外国籍配偶者が未成年子女を養育している事実があり、または面会交流している場合には、外国人配偶者は、離婚後も継続して台湾に居留することができます。

3.永久居留証取得者の居留要件の緩和(第33条)
 改正前は、永久居留証を取得した外国人は、毎年、183日以上台湾に居留していなければ、移民署によりその永久居留証を撤回または廃止されました。
しかし、改正後はこの要件が緩和され、直近の5年の平均で、台湾の居留日数が毎年183日未満の場合にはじめて永久居留証が撤回または廃止されます。

4.不法就労等に関する罰則の強化(第18条)
 改正前は、18条第1項に列挙される事由(不法就労等)があった場合、移民署はその入国を1年から3年の期間禁止することができるとされていました。
しかし、改正後は、入国禁止期間の上限が7年とされました。

なお、改正条文は公布されたものの、まだ施行されておらず、実際の施行日については、行政院が定めることとされています。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。