第575回 自転車の飲酒運転
日本では、道路交通法65条第1項により、自転車の運転に関するルールが厳しくなってきており、2024年11月1日以降、酒気帯び運転(血液1ミリリットル当たり0.3mg以上又は呼気1リットル当たり0.15mg以上のアルコール量を身体に保有する状態で運転する行為)も処罰の対象とされました。
さらに、その罰則は道路交通法117条の2の2第1項第3号により、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であり、決して軽くはありません。
台湾では、刑法185条の3第1項柱書及び第1号により、呼気1リットル当たりのアルコール量が0.25mg以上又は血中アルコール濃度が0.05%以上の状態で「動力を使った乗り物」を運転する行為には、公共危険罪が成立し、3年以下の有期懲役に処せられ、また、30万台湾元(約150万円)以下の罰金が併科されることがあります。しかし、同条でいう「動力を使った乗り物」には、自転車は含まれないと解されており、自転車を飲酒運転したとしても同罪は成立しません。
但し、道路交通安全規則第120条第1項柱書および第4号において、呼気1リットル当たりのアルコール量が0.15mg以上又は血中アルコール濃度が0.03%以上の状態で自転車等を運転してはならないとされています。そして、この基準値を超えて運転した場合、道路交通管理処罰条例第74条第2項により、1200元以上2400元以下の過料に処せられます。
電動アシスト自転車は対象
台湾では、YouBike(ユーバイク、微笑単車)というレンタサイクルサービスがあり、利用している方も多いと思われます。上記のとおり、台湾では自転車の飲酒運転は刑事罰(懲役や罰金等)の対象ではありませんが、過料が科される可能性はあるため注意が必要です。
また、最近、電動アシストタイプのYouBikeが増えておりますが、これは「動力を使った乗り物」に該当し得るため、飲酒運転をすると、刑法185条の3に規定される公共危険罪が成立する可能性があります。通常のYouBikeと電動アシストタイプのYouBikeは見た目がほぼ同じなので、利用する際に両者の違いを意識することはあまりありませんが、法的取扱いは違うので、この点にも注意が必要です。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
執筆者紹介
大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。
本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。