第173回 日本からの輸入包装食品の検査強化へ

先日、日本からの納豆、インスタントラーメンなど内部に付属のたれやスープなどが封入された「複合包装食品」を含む輸入包装食品の一部が、輸入が規制されている福島原発周辺地域で生産されていたことが発覚した。これに鑑み、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA、食薬署)は、▽水際対策の強化▽輸入後の特別検査の実施▽事業者に対する自主管理責任の履行を要求──を行うことを決定した。

さらに、輸入複合包装食品について、▽懸念がある場合は包装開封検査を行う▽事業者に対し、申告時に封入されている調味料の産地を明記するよう要求する──こととなった。

この決定により、食薬署は具体的には以下の通り管理体制を強化した。

  1. 水際対策の強化。食薬署は、日本から輸入される、懸念がある包装食品について、包装に表示されている産地および原産地証明の情報を検査、確認し、かつ内容物を点検する。
  2. 輸入後の特別検査の実施。食薬署は、既に輸入されている、懸念がある食品について、各県市の衛生局と共同で、輸入規制対象5県で生産・製造されたものであるか否かの調査を行う。
  3. 事業者に対する自主管理責任の履行の要求。食薬署は、食品輸入事業者に製品の自主検査を要求する。事業者は、福島原発周辺5県で生産・製造された疑いがある製品は直ちに店頭から撤去すると同時に、県市の主管機関に原産地証明文書等の関連情報を提出しなければならない。また、食薬署も駐外機関による処理協力を実施し、事業者は製品が食品安全衛生管理法の規定に合致することが明確になるまでは販売を停止する必要がある。

300万元以下の罰金に

食品安全法第7条によれば、食品事業者が製品に衛生上の安全を脅かす恐れがあることを発見した場合、直ちに自発的に製造、加工、販売を停止し、製品を回収し、かつ県市の主管機関に通報しなければならない。違反した場合には、食品安全法第47条第2号に基づき、3万台湾元以上300万元以下の過料に処せられる。情状が重大である場合、さらに廃業、一定期間の営業停止、会社、営業、工場の全部もしくは一部の登記事項、または食品事業者の登録の廃止が命じられる場合があり、登録を廃止された場合、1年間は再登録を申請できない。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。


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執筆者紹介

弁護士 尾上 由紀

早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。