第202回 保険会社設立に関する規則の改正

行政院金融監督管理委員会(以下、「金管会」という)は2017年8月22日に、保険会社によるコーポレート・ガバナンスの実施、保険会社の海外子会社または支店の資金洗浄防止およびテロ資金供与取り締まりの基盤などを強化することを主な目的として、「保険会社分支機構設立、移転または閉鎖についての管理規則」(以下、「管理規則」という)の条文を一部改正した。

具体的な改正は以下の通りである。

保険会社の海外子会社または支店の資金洗浄防止およびテロ資金供与取り締まりの基盤並びに保険会社によるコーポレート・ガバナンスの実施を強化するため、管理規則第4条第5項の規定が改正され、保険会社が台湾の支店(支部)の開設を申請する場合、申請段階で準備しなければならない書類として、海外子会社または支店の資金洗浄防止およびテロ資金供与取り締まりに関する統制体制に対する監督官庁の要求を満たす説明文書、コーポレート・ガバナンスの実行状況の説明書が要求されるようになった。

なお、これらの取り締まり等の責任者の定義について、「台湾の保険会社から派遣・任命される代表取締役および総支配人、海外支店の支配人または海外出張所の代表者」を指すとの定めも追加された。

出張所も対象範囲

次に、管理規則が08年1月9日に公布、施行される前に、監督官庁に申請して海外出張所を設立し、かつその出張所が実質的に営業している保険業者について、監督管理を強化するため、改正後の管理規則第16条第4項では、このような出張所も海外支店の事後管理関連規定に従うと定められた。

資金運用、許可受けて可能に

なお、保険会社の海外支店の資金運用については、現地に適応して柔軟に行えるよう、改正後の管理規則第16条第1項第3号では、保険会社の海外支店の資金運用については、監督官庁に申請し許可を受けた上で、現地の保険法令および商慣習に従い行うことができると定められた。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。