第245回 中国生産・日本加工の商品を台湾で日本製と表記できるか

「日本製」の製品は、世界的に高い品質イメージを持たれているため、台湾では、中国で生産し、日本で加工された商品を、「中国製」よりも「日本製」と表記した方が売れると考えられています。しかし、この場合、「日本製」と表記できるのでしょうか。

税目分類番号の変更が基本

これについて、台湾の「輸入貨物原産地認定標準」第5条2号によると、複数の国/地域で生産、加工された貨物は、「最終的に実質的変更を完了した」国/地域が原産地となると規定しています。そして、「実質的変更」の完了に関する判断基準は、同標準第7条によると、輸出入税則で定める6桁の税目分類番号の変更を基本とし、税目分類番号の変更が実質的変更を反映できない場合、価格に照らした「付加価値率」を補充基準とすることになります。「付加価値率」は公式に基づき算出し、35%以上となることを基準とします(同条1項2号、2項)。

違法リスク回避を

よって、中国で生産し、日本で加工した商品は、台湾で販売する際に日本製と表記したい場合は、「中国から日本へ」と「日本から台湾へ」輸出された際に、輸出入税則で定める6桁の税目分類番号の変更が必要となります。変更していない場合は、上記35%以上の付加価値率が必要となります。

ただし、上記諸条件を満たしても、「実質的変更」に該当しない例外規定もあります。そのため、商品を台湾で「日本製」と表記して販売するに当たっては、違法とされる事態を避けるために、まず当局または現地の弁護士にリスク評価を依頼することをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。