第401回 年に複数回の利益配当を行う場合、そのたび財務諸表の監査が必要か

台湾の会社において以前は、利益配当は1年に1回しか行うことができず、かつ株主総会における決議を経なければなりませんでした。2018年の会社法改正後、同法第228条の1に「会社定款において、利益分配または損失補填を会計年度の各四半期または各半期の終了後に行う旨を定めることができる」という新しい規定が追加され、1年に2回または4回、利益配当を行うことができるようになりました。その場合、財務諸表は配当のたびに会計士の監査を受けるかについて、下記の通り説明します。

年に一度、株主総会承認が必要

 台湾の会社法第20条には「会社は各会計年度終了時に、営業報告書、財務諸表および利益分配または損失補填の議案を提示して、株主の同意または定期株主総会の承認を得なければならない」、「会社の資本額が中央主管機関の定める一定金額以上に達する場合、その財務諸表について、まず会計士の監査を受け、監査報告書を発行させなければならない。その監査報告書発行に関する規則は中央主管機関が定める。ただし、株式公開発行会社について、証券管理機関において別段の定めがある場合は適用されない。」と規定されています。

一定規模の会社は会計士監査

 経済部が上記第20条に基づいて公表した経商字第10702425340号公告によりますと、払込資本額が3,000万台湾元(約1億2,200万円)以上に達する会社、または、払込資本額が3,000万元に達しないが、営業収益純額が1億元に達する、もしくは労働者保険加入従業員数が100人に達する会社について、財務諸表は、先に会計士の監査を経た後、株主による同意または定期株主総会による承認を受けなければなりません。

四半期・半期の監査は不要

 同部が公表した経商字第10800006700号解釈によりますと、非公開発行会社の四半期ごとまたは会計年度半期ごとの財務諸表について会計士の監査を受けるか否かに関し、会社法には制限規定はなく、会社が自ら決定することができる、と言及されています。

 よって、非公開発行会社であれば、1年に2回または4回、利益配当を行うとしても、原則として財務諸表を配当のたびに会計士に監査させることは必要なく、上記経済部が公表した条件を満たす会社であれば、財務諸表を年に一度、会計士に監査させればよいと解されます。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。