「職務遂行中における不法侵害予防ガイドライン(第5版)」を公表― 企業実務の参考となる最新指針 ―
先月14日に公表された「職務遂行中における不法侵害予防ガイドライン(第5版)」(中国語:執行職務遭受不法侵害預防指引-第五版/以下、「ガイドライン」といいます)の改訂の概要についてご紹介します。
1.ガイドライン改訂趣旨について
今回の改訂は、第4版(2025年2月21日公表)をベースに、職業安全衛生法(中国語:職業安全衛生法/以下、「本法」といいます)改正への対応を目的として行われました。第5版では、パワーハラスメント(中国語:職場霸凌)の予防・対応に関する内容が大幅に具体化された点が最大の特徴です。
2.改定の概要およびポイント
⑴適用範囲の明確化
セクシュアルハラスメント(中国語:職場性騷擾)、ストーカー行為(中国語:跟蹤騷擾)、就業差別(中国語:就業歧視)およびパワーハラスメントについては、それぞれの個別法令である、性別平等工作法(中国語:性別平等工作法)、ストーカー行為防止法(中国語:防止法跟蹤騷擾防制法)、就業服務法(中国語:就業服務法)および本法のパワーハラスメント防止に関する規定(中国語:職安法職場霸凌防治專章)が優先的に適用されることが明確に規定されました。このため、ガイドラインは、上記以外の職場不法侵害が生じた場合に適用されることとなります。
⑵経営層の責任強化
企業の経営層は、職場における不法侵害防止方針を明確に表明するとともに、公正かつ適正な苦情申立て・対応制度を整備し、各管理職による管理責任の履行を監督すべきことが明記されました。具体的には、以下の3点です。
①経営層が明確な決意を表明し、組織として、職場における不法侵害を防止するための基本方針を定めること。
②事業者は、顧客等からの、「正当な苦情申立て」と、「正当な理由のない要求等」を区別するための基準を設け、また、労働者が正当な理由のない要求等に応じなかったことを理由として、人事評価に影響を及ぼすなどの不利益な取扱いを受けることがないよう保障すること。
③労働契約、就業規則その他の職場における服務規律を定める文書において、職場で暴力行為を行った者(管理職および労働者を含む)に対する懲戒方法を明確に定めるとともに、当該規定を組織内で周知すること。
⑶外部からの不法侵害リスクの評価と労働者保護を強化
職務の遂行に関連して不法侵害事案が発生した場合、使用者は速やかに対応体制を立ち上げるとともに、労働者の被害の程度および実際のニーズを評価し、必要に応じて、①法律相談、②医療または心理カウンセリング等の支援、③保護措置の提供、または④適切な機関へ紹介しなければならないことが明記されました。
⑷苦情申立て窓口の公開および調査・対応手続の拡充
事業者には、複数の苦情申立て窓口を設置・公開するとともに、専任担当者を指定し、通報、調査および対応に関する一連の手続を整備することが求められることが明記されました。また、労働者の利便性を高めるべく、当該窓口には、組織内部におけるパワーハラスメント、職場におけるセクシュアルハラスメント等に関する他の相談窓口の機能を統合することが推奨されています。
⑸安全管理およびプライバシー保護の両立
職場における監視カメラの設置および映像の利用に当たっては、安全確保、労働者のプライバシー、個人情報の保護および比例原則に配慮し、職場における不法侵害を予防するために必要な範囲を超えてはいけない旨が明記されました。
具体的には、事業者は、監視カメラを設置する前に、職場において、暴力、脅迫、夜間の単独作業、金銭取引、医薬品または規制対象物品の管理、救急診療、窓口業務、収容・介護等の比較的リスクの高い状況が存在するかを、あらかじめ評価しなければならず、監視カメラは、主要な出入口、サービスカウンター、待合スペース、駐車場、通路、共用作業区域、金銭または貴重品の受渡場所、緊急通報区域等に優先的に設置すべきとする原則が示されました。
今回の改訂では、相談窓口の整備やリスク評価など、事業者に求められる体制整備がより具体化されました。社内規程や運用体制が新たなガイドラインに沿ったものとなっているか、再度確認しておくことが望まれます。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。
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