第632回 民法改正案を公表、兄弟姉妹の相続遺留分廃止!?

今年6月、法務部(日本における法務省に相当)より、民法改正案が公表されました。今回の改正案では、現代の家族関係に即した制度とし、遺言の自由を尊重する観点から、兄弟姉妹に認められている遺留分を廃止することが大きな柱となっています。

他方で、単に遺留分を廃止すると、被相続人から生前継続的に扶養を受けていた兄弟姉妹などが、被相続人の死亡後に生活に困窮する可能性があるとして、現行の遺産の酌量給付に関する規定が改正され、さらに、相続人間の実質的な公平を促進するための寄与分制度の新設が案として公表されています。

今回の改正の4大ポイントは以下のとおりです。

1.「兄弟姉妹の遺留分」に関する規定の削除(改正条文(以下、省略)第1223条)。

2.被相続人から生前扶養を受けていた兄弟姉妹が、被相続人の死亡後に生活困窮に陥った場合における、一定の要件下での、遺産から相当額の給付を請求できる制度の整備(第1149条)。

3.被相続人の介護や事業への労務提供など、相続人による特別の貢献を相続分に反映する制度の新設(第1173条の1)。

4.遺産分割の促進等を目的とした、持戻し・特別貢献制度の適用期間の新設及び、遺言による遺産分割禁止期間を従前の10年から、5年に縮小(第1173条の2、第1165条)。

日台間の渉外相続

生前に遺言を作成することは、自らの死を想像することにもつながるため、抵抗を感じるのも自然なことだと思います。ご家族からも話を切り出しにくいものでしょう。しかし、相続をめぐって兄弟姉妹や親族が争うことは、遺言をする方にとっても本意ではないはずです。だからこそ、元気なうちから、ご家族で相続について話し合っておくことが大切です。

弊職は、日台間の渉外相続案件も数多く取り扱っていますが、実務を通じて感じるのは、特に渉外(国境を跨ぐ)相続では、初期の対応がその後の手続に影響することもあるということです。このため、まずは専門家に相談し、今後の手続き全体を見据えた上で、的確な初期対応をとることが重要です。

 


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 秋口麻貴

高校時代に参加した弁護士の講演がきっかけとなり、国際的に活躍できる法曹を志す。
高校卒業後、台湾の大学に進学し中国語の習得並びに国際感覚の涵養に励む。
在学中は積極的に日台比較法研究会への参加、現地の法律事務所でのインターン等を通して自身の法律知識を深めた。
台湾法のみならず、様々な法分野においてクライアントに寄り沿うことができる弁護士を目指し、日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。