第35回 台湾結婚事情〜披露宴について

皆さん、こんにちは。黒田日本外国法事務弁護士事務所の外国法事務律師の佐田友です。

こないだ、面白い話を聞きました。台湾に遊びに来た、日本人旅行者の方がタクシーに乗ったところ、少し、運転が荒い運転手だったらしく、スピードも出していたので、「怖い、怖い」と口に出したところ、その運転手はさらにスピードを上げて、旅行者の方はもっと怖い思いを味わったんですって。

「なんでだろ〜」って思われるかもしれませんが、「怖い、怖い」っていう日本語は、中国語の「快、快(kuai,kuai)」という発音にそっくりなんですよね。中国語の「快、快(kuai,kuai)」は、「早く、早く」という意味になるので、運転手さんは「このお客さんは早く目的地に着きたいんだな」と考えて、スピードをさらに上げたんですね。

この話は非常に面白かったです。実際の体験談か、作り話かはわかりませんが、実際の体験談であれば、あまり面白がってはいけない、同情すべき話だと思いますし、作り話としたら、とってもよくできた話ですよね〜。

さて、今回は前回に引き続き、台湾結婚事情と題して、台湾の結婚披露宴の特徴について紹介していきます。

まず、台湾の結婚披露宴の参加者の格好は、とってもカジュアルです。日本の結婚披露宴だと、男性はスーツ、女性はとてもドレスアップして参加するのが普通ですよね〜。女性は髪型まで美容院でバッチリ整えたりするので、結構な出費になると想像します。これが、台湾では、ドレスアップして参加する人が増えつつあるとは聞きますが、まだまだ普段着で参加する方も多いようです。

座席についても、日本では、新郎、新婦の家族、親戚などは新郎、新婦から離れた、入口に近い、いわゆる下座にしますよね?ところが、台湾スタイルは、ど真ん中の上座?というか新郎、新婦のすぐそばに陣取るんですよね〜。

その他、日本では定番の友人や親せきの歌唱タイムなどの余興も基本的にはないらしく、ひたすら飲み、食べ、歓談するというのが台湾スタイルのようです。キャンドルサービスもないですが、新郎、新婦とそれぞれの両親が各席を回ることはするので、完全に、参加者が放置されるというわけではないです。

台湾の結婚は、日本に比較して、新郎と新婦の「家」同士が関係を深くするという面が強いように感じます(もちろん、日本でもそういう面があるのは否定しません)。そのように感じたのは、新婦が日本人だったという理由もあるのでしょうが、私が参加した台湾の結婚披露宴の参加者の内、新郎、新婦関係者と比べ、新郎の父親の関係者が圧倒的多数を占めていたからでした。

新郎、新婦関係者に加え、新郎、新婦の親の関係者が多数、参加することで、台湾の結婚披露宴は規模が大きくなり、300人、400人クラスの披露宴も普通にあるらしいです。日本でも有名人の結婚式や田舎の結婚式などで同程度の規模の披露宴が行われることはあるでしょうが、比較的、台湾の披露宴の方が大規模といえると思います。

そうそう、結婚披露宴のスピーチも、一般的には新郎新婦は行わず、両家の代表が行うんですって。これも、結婚が、「家」同士が関係を深めると私が感じた理由の一つです。日本だとよく見かける「花嫁から父母への感謝のスピーチ」も普通は行われないってことなんですね〜。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 佐田友 浩樹 (黒田日本外国法事務律師事務所 外国法事務律師)

京都大学法学部を卒業後、大手家電メーカーで8年間の勤務の後、08年に司法試験に合格。10年に黒田法律事務所に入所後、中国広東省広州市にて3年間以上、日系企業向けに日・中・英の3カ国語でリーガルサービスを提供。13年8月より台湾常駐、台湾で唯一中国語のできる弁護士資格(日本)保有者。趣味は月2回のゴルフ(ハンデ25)と台湾B級グルメの食べ歩き。