台湾法上の「抱き合わせ販売」

 台湾法上の「抱き合わせ販売」については、以下の通り規定されている。 

(一)公正取引法第20条第5号:「以下の各号の行為の一に該当し、かつ競争を制限する恐れがある場合、事業者はこれを行ってはならない。5.取引相手の事業活動を不当に制限することを条件として当該取引相手と取引をする行為。」
(二)公正取引法施行細則第28条:「(第1項)本法第20条第5号においていう制限とは、抱き合わせ販売、独占取引、地域、顧客又は使用の制限及びその他事業活動を制限する場合を指す。(第2項)前項の制限が不当であり競争を制限する恐れを有するか否かは、当事者の意図、目的、市場地位、属する市場の構造、商品又は役務の特性及び履行の状況の市場競争に対する影響などを総合して判断を行わなければならない。」 

上記(一)(二)の規定によれば、台湾法における「抱き合わせ販売」とは、事業者による取引の相手方に対する一種の制限行為をいうが、必ずしもすべての「抱き合わせ販売」が違法な行為となるわけではなく、「不当であり競争を制限する恐れがある場合」にはじめて違法行為を構成する。「不当であり競争を制限する恐れがある」かどうかは、当事者の意図、目的、市場地位、属する市場の構造、商品又は役務の特性及び履行の状況の市場競争に対する影響などに基づいて判断を行わなければならない。 

実務上、違法な抱き合わせ販売と当局に認定された事例として以下の例がある。

  1. カラオケカセットテープの発行会社がカラオケ業者に対し、「周杰倫(著名な中国語歌手)」のカラオケカセットテープの購入に際して、仏教の経典などの売れ行きの悪いカラオケカセットテープを同時購入しなければならないと要求した。当該抱き合わせ販売行為は公正取引委員会により違法と判定され、かつ220万新台湾ドルの過料に処せられた。
  2. 中華電信社が消費者に対し、ADSLサービスの購入に際して、市内電話サービスも併せて購入しなければならないと要求した。
    当該抱き合わせ販売行為は国家通訊伝播委員会(NCC)により違法と判定され、かつ30万新台湾ドルの過料に処せられた。
     上記の通りセット販売の内容によっては、違法な抱き合わせ販売と認定される可能性があるため、台湾で商品の販売を行う際には、上記規定に留意する必要がある。