台湾法上の仮釈放

最近、Aという殺人犯が台湾法務部に提出した18回目となる仮釈放の申請が予想通り却下されたことが、台湾メディアによって広く報道されました。

仮釈放の法律上の根拠は、刑法第77条第1項の「懲役刑の執行を受け、改悛の確実な証拠を有する者について、無期懲役刑の場合は25年を経過したとき、有期懲役刑の場合は刑期の2分の1を経過したとき、累犯の場合は刑期の3分の2を経過したとき、刑務所が法務部に報告して申請することにより、刑務所からの仮釈放を許可することができる。」です。

Aが犯した罪には殺人罪、身代金目的誘拐罪等が含まれ、裁判所の確定判決は、無期懲役でした。Aは、2017年に上記の刑法第77条第1項の「刑務所からの仮釈放を申請することができる」に必要な服役期間を経過したことを理由に、2017年から現在まで、すでに18回の仮釈放の申請を法務部に提出していますが、すべて却下されています。

Aは申請書において「私は、刑務所での服役時において、過ちを改め、向上心を持つことに努め、何度も表彰まで受けました。法務部は私の仮釈放の申請を却下すべきではありません」と述べています。これに対し、法務部は「Aの罪責は重大であり、1つの殺人既遂罪、2つの殺人未遂罪、12の身代金目的誘拐罪が含まれており、また、これまで、被害者の許しを得ておらず、仮釈放を許可するのは適切でない」と示しました。

台湾では、多くの犯罪者が刑務所からの仮釈放後に再び罪を犯していることから、法務部が犯罪者からの仮釈放の申請に対してますます厳格な審査基準を採用して申請を却下するようになっていることは、決して意外なことではないと言えます。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。

【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修