土木技師同業組合などの専門団体による費用徴収基準の設定は違法行為を構成する

公平交易委員会は、2024年3月4日、公処字第113013号処分書(以下「本処分書」といいます)により、土木技師同業組合、構造技師同業組合などの8つの専門団体が「耐震評価」などのサービスの費用徴収基準を共同で決定したことが違法な連合行為を構成すると認定し、各団体に対し20万~60万台湾元の課徴金を課しました。このことは、建築業界を震撼させました。

公平交易法(以下「本法」といいます)第14条第1項によると、いわゆる「連合行為」とは「競争関係を有する同一の生産・販売段階の事業者が、契約、協議またはその他の方式による合意をもって、商品またはサービスの価格、数量、技術、製品、設備、取引先、取引地域を決定するまたはその他相互に事業活動を拘束する行為であって、生産、商品の取引またはサービスの需給における市場の機能に影響を及ぼすに足りる行為」を指し、また、本法第15条によると、いかなる企業も連合行為をなしてはならず、「コスト削減、品質改良または効率化促進のために商品またはサービスの仕様または形態を統一する場合」などの除外条件を満たし、かつ公平交易委員会の許可を受けた場合に限り、例外的に認められるとされています。

本処分書で指摘されている連合行為は主に次のとおりです。

1、2019年に、中華民国土木技師同業組合全国連合会(土木全連会)、中華民国構造エンジニアリング技師同業組合全国連合会(構造全連会)およびこれらに属する各地方の土木同業組合、構造同業組合が、耐震マーク認証サービスおよび私有建築物耐震性評価に関する費用徴収基準について、会議を開催し、徴収費用を統一すると決め、関連する費用徴収基準を定めると決議したこと。

2、19年1月から4月までの間に、土木全連会、構造全連会ならびに台湾省、台北市および新北市の土木同業組合および構造同業組合が、会議、理事・監事会決議、会員である同業組合への書簡による通知を通じて、「都市の危険建築物および老朽建築物の構造安全性能評価」の詳細評価の徴収費用を共同で調整したこと。

3、2019年8月に、土木全連会が、理事会決議により「都市の危険建築物および老朽建築物の構造安全性能評価」の初歩的評価の費用徴収基準を改定し、また「建築物の公共の安全に係る耐震性評価検査および認証」の費用徴収基準を定めたこと。

上記のとおり、競争関係を有する企業間における製品、サービスの価格に関する協議会が連合行為を構成するだけではなく、競争関係を有しないように思われる専門団体が行った価格決定も、同様に連合行為と認定されるという点に、特にご留意ください。


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【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修