第515回 グループ内の組織再編も結合申告が必要か

組織再編のため、グループ内の会社が合併、事業譲渡、株式譲渡等を行う場合において、公平交易法(公正取引法に相当、以下「本法」)上の「事業の結合」の定義及び申告基準に該当するときは、申告しなければならないでしょうか。

申告不要の条件

本法第12条第6号によれば、結合申告基準を満たしていても、公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)が公告した申告不要の条件に該当するのであれば、申告は不要とされています。

例えば、「事業が他の事業と結合し、それらの事業が同一の支配事業の従属事業である」場合は、申告不要の類型の一つであるとして公告されています。

支配と従属の関係

本法上の事業の支配と従属の関係について、同法施行細則第6条第1項に下記のとおり定義されています。

1. 事業が保有する他の事業の議決権付き株式又は出資額が、当該他の事業の発行済議決権付き株式総数又は資本金総額の2分の1を超える場合

2. 事業が直接的または間接的に他の事業の人事、財務または事業運営を支配している場合

3. 両事業の間に本法第10条第1項第3号(他の事業の営業又は財産の全部又は主要部分を譲受又は賃借する場合)または第4号(他の事業と経常的に共同経営し、又は他の事業の委託を受けて経営する場合)に規定する事情があり、一方の事業が他方の事業を支配することになった場合

4. 本法第11条第3号の者、団体(事業に対して支配的に株式を保有する者又は団体)及びその関係者が保有する他の事業の議決権付き株式又は出資額が、当該他の事業の発行済議決権付き株式総数又は資本金総額の2分の1を超える場合

例えば、A社及びB社ともC社の51%の子会社である場合、A社とB社の合併は、上記1により、C社は同時にA社及びB社を支配しているため、上記公告によりますと、申告不要になります。

また、C社がA社またはB社の過半数の株式を保有していなくても、同時にA社及びB社の人事、財務または事業運営を支配することが証明できれば、上記2によりますと、申告不要になります。

結合申告手続きは煩雑であり、免除できれば費用、労力を節約することができるため、申告不要に該当する可能性が少しでもあれば、法律専門家に確認することをお勧めします。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 鄭惟駿

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。