台湾において雇用時に注意を要するポイント
4大経営資源である、「ヒト・モノ・カネ・情報」を国外でスムーズに整えることは並大抵のことではありません。今回は、4大経営資源の中でも重視すべき「ヒト」の部分に焦点を当て、台湾で労働者を雇用する際にご注意いただきたい点についてご紹介いたします。
1.労働契約で定めておく必要がある事項
台湾では、いわゆる日本における労働条件通知書のような書面作成及び交付義務はないものの、「労働契約締結上定めるべき事項」が13項目法定されています(労働基準法施行細則第7条)。このため、実務上は将来的なトラブル防止の観点から、労働契約書の書面締結や労働条件通知書の作成がなされる傾向があります。
①就業場所及び従事すべき業務
②始業及び終業時刻、休憩時間、休暇、祝祭日、休暇申請方法並びに交代制を採る場合における交代に関する事項
③賃金に関する調整、計算、精算、支給日及び支給方法
④労働契約の締結、解除及び退職
⑤解雇手当、退職金、その他の手当及び賞与
⑥労働者が負担すべき食費、宿泊費及び作業用品
⑦安全衛生
⑧労働者の教育及び訓練
⑨福利厚生
⑩災害補償及び一般傷病補償
⑪遵守しなければならない規律
⑫賞罰
⑬その他労使の権利義務
2.就業規則について
⑴作成義務及び有効性
このほかにも、使用者は、労働者の雇用人数が30人に達したときは、直ちに就業規則を作成し、30日以内に所在地の所轄官庁の確認等を受けなければならないとされています(労働基準法第70条、同施行細則第37条1項3項、第38条)。そして実務上、就業規則は、①作成後所轄官庁へ届出を行い、確認を受けた上で、②労働者の目が届く場所へ公開掲示することによって、初めて労働者に対して効力が生じるとされています。なお、就業規則を修正した場合にも、修正後30日以内に再度所轄官庁に届け出る必要があります。
⑵記載すべき事項
具体的に、就業規則に記載すべき内容は以下のとおりです。
①就業時間、休憩、休暇、法定祝日、特別休暇(有給休暇等)、継続性業務のシフト方法
②賃金の基準、計算方法、支払いの時期
③労働時間の延長
④手当及び賞与
⑤遵守すべき規律
⑥勤務評定、休暇申請、表彰及び制裁、昇格及び異動
⑦雇用、解雇、退職、定年
⑧災害傷病補償及び見舞金
⑨福利厚生
⑩労使双方が遵守すべき労働安全衛生規定
⑪労使双方の意見の伝達と協力関係強化の方法
⑫その他の事項
台湾では、近年労働事件が増加傾向にあります。将来的なトラブル防止の観点からも、まずは雇用の時点で専門家へ相談されることをお勧めいたします。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談ください。
【執筆担当弁護士】
