「外国人の滞在・居留及び永住に関する規則」の改正:投資移民の制限の緩和等

台湾内政部は2011年7月18日に「外国人の滞在・居留及び永住に関する規則」(以下、「本規則」という)の改正規則を公布した。今回の改正の主要な点は以下の通りである。

一、台湾の永住権の資格取得が緩和された点

改正前の本規則第12条では、外国人が台湾における投資移民の申請をする場合において、①1500万ニュー台湾ドル以上の営利事業に投資し、かつ5人以上の台湾人の就業機会を創出して3年以上経過したとき、又は、②3000万ニュー台湾ドル以上を、出入国及び移民署が目的事業の主管機関と共同で指定する投資移民基金に投資して5年以上経過したときには、出入国及び移民署は永住を許可することができると規定されていた。

上記②の投資移民基金について、現在、台湾政府は実際には関連する投資移民基金制度を設けておらず、かつ5年という期間も長すぎるため、改正規則では投資移民基金の規定が削除され、また、外国人は「中央政府の公債に3000万ニュー台湾ドル以上の額を投資して3年以上経過した場合」又は「中央政府の目的事業の各主管機関が特定の目的に基づき計画する投資案に投資し、かつ当該機関の認定を経た場合」であれば、台湾の永住権を申請することができると規定された。なお、上記①の1500万ニュー台湾ドル以上を投資し、かつ5人以上の就業機会を創出するという規定についてはそのまま維持されている。

二、永住資格を取得した外国人がその外国人永住証を取り消された後に外国人居留証を申請できる期限が明確にされた点

外国人が台湾における永住許可を取得した後、毎年の居住日数が183日未満であることにより外国人永住証を取り消されたが、なお通常の居留資格を有する場合について、改正前の本規則では、外国人居留証の申請期限が規定されていなかったが、改正規則第11条第4項では、外国人永住証を取り消された後三十日以内に申請しなければならない旨が明文で規定された。

三、招聘に応じて台湾に来るホワイトカラーの居留期間の満了時にその配偶者及び子女がともに台湾を出国できる規定が追加された点

本規則第22条には、台湾に投資又は仕事のために来る外国人が居留期間の満了前に、出国準備のための十分な時間を確保するため、台湾の出入国及び移民署に対し居留期間満了後十五日間の延長を申請できる旨が規定されている。しかし、当該外国人の配偶者、子女も出国期限の延長を申請することができるか否かについて、改正前の本規則では規定されていなかったため、実務上、居留期間の期間満了時に配偶者、子女が直ちに出国しなければならないか否かについて争いがあった。この点について、改正規則では、配偶者、子女も本人同様、出国期限の延長を申請できる旨が明文で規定された。


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【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修