公平取引法の改正

2012年12月6日、台湾の行政院は公平取引法改正案を可決した。主な改正点は以下の通りである。
1.公平取引委員会は裁判所に対し捜索、差し押さえを請求することができる
違法な独占、結合、連合行為などの競争を制限する行為について、公平取引委員会(以下「公平会」という)は裁判所に対し違法な企業に対する捜索、差し押さえを請求することができる。

2.「調査中止」制度の増設
公平会の調査を受ける事業者が、違法の恐れがある行為を停止、または取り消す具体的な措置を指定期限内に講じる意思を有する場合、公平会は調査を中止することができ、かつ事業者による承諾内容の履行について監督する。事業者が承諾内容を履行した場合、公平会は当該事案を終了することができる。

3.競争制限行為の調査・裁決期間の延長
企業が行う違法な競争制限行為は、優勢な経済力をもって不当な利益を獲得するケースも少なくないため、競争制限行為の事案は複雑であり、調査に時間がかかることが多く、また、主管機関は企業の違法行為に関する具体的な証拠を収集するほか、経済学的な分析を用いて当該違法行為が市場競争に損害を与えることを証明しなければならない。そのため、現行法における3年という調査・裁決期間では、主管機関が適時に具体的な証拠を収集してその違法性を証明することが難しいケースもあるため、競争制限行為の調査・裁決期間は5年に延長された。

4.企業結合の申告基準に関する規定の改正
現行法では、市場シェアを、企業の結合時に申告すべきか否かの基準の1つとしているが、市場シェアをどのように計算するかについて、実務上、たびたび紛争が発生しているため、改正案では、売上額を結合の唯一の申告基準としている。

5.連合行為の例外許可規定の追加
企業連合行為の例外許可規定について、改正案では概括的な条項が追加されている。即ち、産業発展、技術革新又は経営効率を促進するために必要なその他の共同行為であって、経済全体及び公共の利益に資するものでさえあれば、主管機関に対し例外的に許可を申請することができる。


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【執筆担当弁護士】

弁護士 黒田健二 弁護士 尾上由紀 台湾弁護士 蘇逸修