第346回 国民裁判官法成立、23年より導入

立法院は7月22日の第三読会で、国民法官(裁判官)法(以下、本法)を可決した。2023年1月1日より、市民と職業裁判官が共同で「国民法官法廷」を構成し、特定の刑事事件を審理する。

日当支給

本法第5条の以下の規定によれば、少年犯罪と麻薬・覚醒剤事件を除き、法定刑が10年以上の懲役である罪または被告の故意の犯罪により死亡が引き起こされた事件について、原則として選出された6人の国民裁判官と3人の職業裁判官が共同で審理を行わなければならない。

本法第12条の以下の規定によれば、年齢が満23歳で、かつ地方法院(地方裁判所)の管轄区域で4カ月以上継続居住している中華民国の市民であれば、国民裁判官に選出される資格と義務を有する。

出廷して審判に参加する国民裁判官に対し裁判所は、日当、旅費および関連する必要な費用を支払う必要がある。

被告の有罪または無罪の認定について、本法第83条の以下の規定によれば、3分の2以上の裁判官(国民裁判官と職業裁判官。以下同じ)による同意の評決を得なければならず、3分の2に届かない場合、無罪またはその他の被告にとって有利な認定を告げなければならないと規定されている。被告の刑期の長さについては、過半数の裁判官の評決が必要で、死刑に限っては、3分の2以上の裁判官の同意を得る必要がある。

漏えいで罰金

国民裁判官が刑事事件の審理に参加する場合、本法の規定により、国民裁判官が審理の開始前に、被告にとって不利な証拠資料を閲覧したことにより偏見を持つのを避けるため、検察官が起訴した際に、記録および証拠物を一緒に裁判所に送付してはならない。

審判に参加する国民裁判官が、裁判官の評議の結果を漏えいした場合、本法第97条に従い、1年以下の懲役、拘役または10万台湾元(約36万円)以下の罰金を科する。国民裁判官が賄賂を要求または受け取った場合、本法第94条の規定に従い、3年以上10年以下の懲役に処し、200万元以下の罰金を併科できる。

本法が可決されるまで、職業裁判官などの数多くの法曹人員は、一般の市民は専門的な法律知識がなく、被告または証人のパフォーマンスに左右されやすいなどとして、市民が刑事事件に参加して審理することを反対していた。

国民裁判官が審理に参加するという新制度が順調に実施され、正確で、大衆の信任として価値ある判決が作成できるか、注意深く見守る必要がある。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。