第348回 住宅賃貸借契約の記載事項に関する規定の改正

賃貸人および賃借人の双方の権益保障を強化するため、「住宅賃貸借約款に記載すべきおよび記載してはならない事項」(中国語:「住宅租賃定型化契約応記載及不得記載事項」)、および「住宅賃貸借契約で約定すべきおよび約定してはならない事項」(中国語:「住宅租賃契約応約定及不得約定事項」)が改正され、9月1日から効力が生じます。

今回の両規定の改正により、主に以下の内容が明記されました。

賃借人に有利な規定

  • 賃貸人が賃借人に対して請求する電気代は、夏季(6~9月)と夏季以外の期間に分かれており、それぞれの期間において、台湾電力(台電、TPC)が定めた当月の使用電力の最高レンジ(1,001kWh以上の部分)の金額を超えてはいけません。8月31日現在の上限は、夏季:1kWh当たり6.41台湾元(約23円)、夏季以外:1kWh当たり5.03元です。
  • 賃借人が病気や不慮の事故により、長期療養の必要があり、医療機関が6カ月以上の診断証明書を発行した場合、賃借人は契約期限より前に賃貸借契約を終了させることができます。
  • 賃貸人は、賃貸借期間において、いかなる理由によっても賃料の値上げを要求してはなりません。
  • 賃貸人は、賃貸借契約締結時に住宅を賃貸する権利がある証明文書を示さなければならず、また、賃借人が修繕の責任を負う項目および範囲を説明しなければなりません。

賃貸人に有利な規定

  • 賃貸借関係が終了した後、賃借人の遺留物が部屋に残っている場合、賃貸人が賃借人に催告し、それでも賃借人が回収しない場合には、賃貸人は、当該遺留物を廃棄することができます。
  • 賃借人は部屋を住宅以外の用途に勝手に変更してはいけません。
  • 賃借人が部屋を転貸する場合、転貸後30日以内に賃貸人に通知しなければなりません。

 内政部によると、9月1日以降、新しく締結する住宅の賃貸借契約の内容が上記規定に沿わない場合、賃借人は賃貸人に対して、修正を求め、または契約締結を拒絶でき、また、消費者保護法第56条の1により、当該違反部分について賃貸人が主務機関からの改善命令に従わなかった場合、賃貸人は3万元以上30万元以下の過料に処されます。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。