第349回 大同反対勢力の臨時株主総会、経済部が招集認める

社会の大きな注目を集めた大同(TATUNG)の経営権争いに関して、経済部は8月12日、大同の反対勢力である「市場派株主」が会社法第173条第4項の規定に基づき、同社の臨時株主総会を自ら招集することを承認したと発表しました。

経営権の争奪戦

大同は1918年に設立された、電子用品の生産を主な業務とする有名な上場会社です。近年業績不振に陥り、▽中華映管(CPT)▽緑能科技(グリーン・エナジー・テクノロジー)▽尚志半導体──などの子会社や関連企業も深刻な赤字により次々と上場を廃止しました。

しかし、大同は非常に早い時期に成功し、台湾に35万坪以上と言われる土地を有しています。また、大同の店舗が各県・区の一等地に多く所在することから、各方面の勢力が大同の経営権争奪に挑む事態を招きました。

今年6月30日、大同は董事9席(3人の独立董事を含む)を全面的に改選するつもりで株主総会を開催しました。

大同の董事長をトップとする少数株主(俗に「会社派株主」という)は、企業合併・買収法第27条第14項(合併・買収の目的で、本法の規定に基づきいずれかの公開発行会社の発行済み株式の総額の100分の10を超える株式を取得する場合、取得後10日以内に、証券主管機関に対しその合併・買収の目的および証券主管機関が定める申告すべき事項を申告しなければならない。申告事項に変更がある場合、その都度補正しなければならない)および第15項(前項の規定に違反して公開発行会社の発行済みの議決権付き株式を取得した場合、その超過部分について議決権はないものとする)の規定を引用し、市場派株主が大同社の株式取得時に主管機関に申告していないことを理由に、市場派株主の議決権(株式全体の約53%を占める)を強行排除し、全ての董事を当選させました。

市場派株主は会社派株主が違法に議決したと主張し、7月9日に会社法第173条第4項(董事の株式譲渡またはその他の理由により、董事会が株主総会を招集しないまたは招集することができない場合、発行済み株式総数の100分の3以上の株式を保有する株主は、主管機関に申請しその許可を得た上で、自ら招集することができる)に基づき、大同の臨時株主総会を招集、開催することを申請し、経済部の承認を得ました。

本件の攻防のポイントは、会社法、企業合併・買収法の関連規定の運用にあります。貴社が今後、台湾で持ち分売買など企業合併・買収に関する行為をする際には、ぜひ関連法規、判例に精通した法律専門家に事前にご相談ください。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。