第373回 離婚する際に財産はどのように分配するのか?

 著名卓球選手の福原愛さん(32)、江宏傑さん(32)の離婚騒動のニュースは、日本、中国、台湾で大きな注目を集め、多くのファンが関心を寄せています。もし二人が最終的に離婚せざるを得なくなった場合、双方の財産はどのように分配することになるのでしょうか?

離婚の財産分与

 台湾では、夫婦が離婚する時の財産の分配方法は、その夫婦が採用する夫婦財産制によって決まります。台湾法上は、「法定財産制」、「分別財産制」および「共有財産制」という全部で3種類の夫婦財産制があり、結婚前または結婚後に夫婦で話し合って選ぶことができます。いずれも選ばなかった場合は「法定財産制」が適用されます。

 以下に3種類の夫婦財産制の概要を説明します。

一、法定財産制

 その根拠は、民法第1017条第1項「夫または妻の財産は、婚姻前の財産と婚姻後の財産とに分けられ、夫婦が各自所有する。婚姻前の財産であるのか、婚姻後の財産であるのかを証明できない場合、婚姻後の財産と推定する。夫または妻が所有する財産であることを証明できない場合、夫婦の共有に属するものと推定する」および1030条の1第1項「法定財産制関係が消滅する時、夫または妻の現存する婚姻後の財産から婚姻関係の存続により負う債務を控除した後に残りがある場合、その双方の残余財産の差額は、均等に分配するものとする」です。

 例えば、夫Aには結婚時に、100万台湾元(約390万円)の預金(すなわち婚姻前の財産)があり、結婚後に1,000万元(婚姻後の財産)を稼ぎ、400万元の負債があるとします。

 一方、妻Bは結婚後に5,000万元を稼ぎ、負債がないとします。

 この場合、法定財産制を採用するAとBが離婚する時、Aの残余財産は婚姻後の財産1,000万元-婚姻後の負債400万元=600万元となります。

 一方、Bの残余財産は婚姻後の財産5,000万元-婚姻後の負債0元=5,000万元となります。

 したがって、AとBが離婚する時、残余財産が多い妻Bは、残余財産の差額の半分(5,000万元-600万元を2で除した2,200万元)を甲に分配しなければなりません。

二、分別財産制

 根拠は民法第1044条「分別財産は、夫婦がそれぞれその財産の所有権を保有し、各自管理し、使用し、収益しおよび処分する」です。

 上の例において、AとBが分別財産制を採用した場合、AとBが離婚する時、基本的にAとBは婚姻前、婚姻後に自らが稼いだ金銭を各自取り戻し、その債務を各自処理すればよく、分配の問題は発生しません。

三、共有財産制

 根拠は民法第1031条「夫婦の財産および所得は、特有財産を例外として、共有財産として一括し、夫婦の合有に帰属する」、第1040条「(第1項)共有財産制関係が消滅する時、法律に別段の定めがあるときを除き、夫婦はその共有財産制契約締結時における財産をそれぞれ取り戻す。(第2項)共有財産制関係の存続中に取得した共有財産は、夫婦がその半数をそれぞれ取得する。ただし、別段の約定があるときは、その約定に従う」です。

 上の例において、AとBが共有財産制を採用した場合、双方が婚姻関係において共同で稼いで得た金銭は全て共有財産であり、離婚する時に共有財産を半分ずつ(つまり1,000万元-400万元+5,000万元の半分の2,800万元)各自取得します。

 実務において、財産の差が大きな男女が結婚する場合、「分別財産制」の採用を約定するのが一般的です。例えば、メディアの報道によると、鴻海精密工業創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏は2008年に再婚した時、分別財産制を採用し、裁判所における当該財産制の登記を完了しています。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。