第417回 個人情報収集者の告知義務

 会社が消費者や取引相手などから個人情報を受領する機会は多いと思われます。個人情報保護法第2条第1号によると、個人情報とは、▽自然人の氏名、▽生年月日、▽国民身分証の統一番号、▽パスポート番号、▽特徴、▽指紋、▽婚姻、▽家族、▽教育、▽職業、▽病歴、▽医療、▽遺伝子、▽性生活、▽健康診断、▽犯罪記録、▽連絡先、▽財務状況、▽社会活動およびその他直接または間接的な方法により当該個人を識別することができる情報──を指します。

 このような個人情報を収集する場合、原則として、下記①~⑥の事項を当事者に告知する必要があります(個人情報保護法第8条第1項)。また、個人情報の当事者ではない第三者から個人情報の提供を受ける場合には、原則として、その処理または利用の前に、当事者に対し、当該個人情報の出所および下記①~⑤の事項を告知する必要があります(個人情報保護法第9条第1項)。

①個人情報収集者の名称
②個人情報収集の目的
③個人情報の類別
④個人情報の利用期間、地域、対象および方法
⑤第3条の規定に基づき当事者が行使できる権利(閲覧、削除請求など)および方法
⑥当事者が個人情報の提供を自由に選択できる場合における、不提供が当事者の権益に与える影響

 上記事項の告知方法については、個人情報保護法施行細則第16条に規定があり、口頭、書面、電話、SMS、電子メール、ファックス、電子ファイルまたはその他当事者に十分に知らせることができ、もしくは当事者が知ることができる方法により行うことができるとされています。

 上記告知義務が例外的に免除されるのは、以下のような場合です(個人情報保護法第8条第2項)。

告知免除の場合

  1. 法律の規定に基づき告知を免ずることができる場合
  2. 公務機関が法定職務を執行する、または非公務機関が法定義務を履行するために個人情報を収集する必要がある場合
  3. 公務機関による法定職務執行の妨害になることを告知する場合
  4. 公共の利益の損害になることを告知する場合
  5. 告知すべき内容を当事者が熟知している場合
  6. 個人情報の収集が営利目的によるものではなく、かつ当事者に不利な影響がない場合

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

弁護士 福田 優二

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。